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海陽学園 世界で一つの中高一貫校 “02”

☆本ブログを顧みると、2009年に現在の中島校長が就任してから、毎年折に触れ海陽学園について、何かしら気づいた点を書き込んでいる。それを眺めて、今回体験入学をオブザーブさせていただきながら、おそらくこうではないかと思ってきたことが確信に変わったところが幾つもあった。

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2009年4月26日の記事「伸びる学校[019] 海陽学園の変質」では、次のような感想を抱いていた。

新校長が就任したので、どこか変わるかもしれないと思って参加してみたが、校長の交代による変化というよりも、副校長を中心に現場で毎日24時間体制で教育に3年間取り組んできた結果、かなり質的変化があったのだなと感じた。

☆それからさらに3年と少し経て、ますます24時間体制の教育の日々の連続が、教育の質の向上を果たしていると確信したが、それは副校長を中心とすることによってから、中島校長もかなり深く教師と生徒と保護者とハウスのスタッフとコラボレーションすることによってという見方に変わった。

☆それは、すでに上記PTA会報の「校長式辞」や「大学入試、人間力重視を 高校教育の改革必要 脱偏差値主義がカギ」(日経新聞 2012/7/2付)という中島校長の論考を読めば明らかなのであるが、朝、体験入学のオリエンや説明会の会場になる食堂兼多目的講堂で、天文台から転送されてくる太陽のデータをモニターに映し出している校長先生の姿に、それを感じることができた。

☆今年は特に天空現象や宇宙、ヒッグス素粒子の発見などの話題にはこと欠かないわけであるから、校長であると同時に科学者としても生徒に「好奇心と開放的精神、問いかけ」(科学者の精神であると同時にリーダーのサバイバルスキルでもある)を持つきっかけを作ろうという静かな情熱が満ちていた。モニターには、プラズマ大気層のシルエットが映し出されていた。そこにところどころ、爆発現象が起こっていたが、あれは太陽フレアやプロミネンスのシルエットだったのかもしれない。

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☆いずれにしても、生徒といっしょに天体望遠鏡を見ながら、あるいはモニターを見ながら、宇宙の話や素粒子、ニュートリノの話などをしている中島校長の姿が目に浮かんだ。「このシステムは中高レベルのものではなく、大学レベルのものですよ」と語られていたが、それを生かすのは結局教育であり人であると。

☆また、2009年の記事にはこんなことも書き刻んでいる。

事務長も、生徒の才能を引き出せるような、つまり地アタマを試すことができるような問題を創意工夫して作ることについて語っていたが、この時期に入試問題についてこれほど時間を割き、入学者の知にこだわる説明会も珍しい。

☆これについては、今回大いに合点がいった。一般の中高一貫校の事務長は、教育と経営はセパレートしているものであるが、海陽学園では、教育の土台を形成するハウス(寮)の経営がある。このハウスの経営は教育と経営の理屈が表裏一体が故に、経営だけに集中していればよいというわけにはいかないのである。

☆先述の日経新聞の中で、中島校長はこう語っている。

建学の理念は、次代を担うリーダーの育成であり、そのために基礎学力と人間力をバランスよく育成する全人教育の実現である。ここでいう人間力とは、人間味や覇気に富む、異質なものと折り合いがつけられるなど、人間性や社会性の根幹にかかわる能力を指す。

 
産業界のリーダーたちは、昨今の人間力を欠く多くの若者を見て危機感を抱き、大学に入る前の中等教育を改める必要性を感じた。改善のためのモデルとして設立されたのが海陽学園である。

☆そして、その改善のための挑戦として、

日本の学校の主流である授業中心のカリキュラムは、基礎学力の習得には有効であっても、人間力を育成するには十分ではない。人間力を養う場として、昔から重視されてきたのは寮である。

☆ハウス(寮)制度を実施しているのである。したがって、ここを運営する事務長は、経営と教育の理屈を統合するだけではなく、日本の学校教育の欠陥を改善するという使命まで負っているのである。そして、このハウスにおける日々の学びは、地アタマ、つまり広く深く考える力、様々な個性と折り合いをつけられるリーダーシップという「脱偏差値」学力なのである。

☆ハウスにおける学びについては、次回考えてみたいが、ここに21世紀型教育の奥義があることは結論先取り的に言っておこう。

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