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成立学園 自然2.0の挑戦 [01]

☆また新たなグッドスクールに出遭った。その学校は、赤羽に位置する成立学園。今日、社会や世界は、Web2.0、モチベーション2.0、Revolution2.0、一般意志2.0・・・という表現にあるように、ヴァージョンアップの時代を迎えている。しかし、まだまだそれらは世界を建設するパーツの話で、包括的ではない。

☆ところが、成立学園の教育の根幹には、これらを包括的にヴァージョンアップする知性と感性を育成する潜在力がある。それを「自然2.0」と呼ぶことにしよう。

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☆「成立学園」の「成」の字は、開成学園に由来する。「立」も、開成が共立という校名時代があるから、そこから来ているのかもしれないが、歴代の理事長が、鳩山一郎と意志を共有して、教育にあたったというから、もしかしたら、鳩山一郎の学校といっても過言ではない「共立女子」に縁があるのかもしれない。

☆それゆえ、男女共学発想がもともとあったと推察したほうが自然であろう。いずれにしても歴代の理事長は、開成や麻布といった学校にかかわり、その≪私学の系譜≫の精神を継承しながら、開成や麻布でできなかった教育を行おうという気概があったのであり、その気概が今も脈々と流れているのが成立学園である。

☆それから鳩山一郎と意志を共有していたということは、EUの父クーデンホーフカレルギーの「友愛革命」のアイデアも共有していたということだろう。なるほど「自然2.0」である。

☆というのも、カレルギー伯爵は、フランスとアメリカは革命によって自由を獲得した、ロシアは平等を獲得した。しかし、まだ友愛を獲得したところはない。唯一の被爆国日本がその先頭にたちなさいというエールを鳩山一郎に贈っている。いうまでもなく、「自由・平等・友愛」は近代国家成立のキーワードである。

☆しかし、この3つのキーワードはリンクができていない、それゆえ、近代の矛盾が荒れ狂ってきたし、今もそうである。その3つのキーワードの輪を結ぶ人材を輩出できるのが成立学園というわけだ。

☆もともと、明治に創設された東京大学の初総理(今の総長)加藤弘之が、社会進化論なる思想で、「自然」という概念を捨てて、富国強兵、殖産興業に突っ走った。そのときのキーワードは「優勝劣敗」である。今で言う「勝ち組負け組」。ダーウィンの進化論を歪曲してしまった。そんな短期決戦の優勝劣敗は、ダーウィンは自然の進化として考えていなかったはずだからである。

☆いずれにしても日本近代国家は、こうして「自然1.0」を捨てた、「自然」の意味をすり替えていった。ここに立ち向かったのが麻布や開成、慶応といった私立学校であったことは、意外にも忘却されている。開成の初代校長高橋是清はその富国強兵路線の凶弾によって暗殺されたぐらいだというのに。

☆この≪私学の系譜≫が戦後日本社会建設で大いに活躍したことも、今は忘れ去られている。戦後教育基本法の「成立」には、多くの私学人、≪私学の系譜≫の第二世代の弟子たちがかかわっていた。再び「自然」という思想を教育の憲法に取り入れたのである。

☆つまり「自然2.0」の根っこがそこにあったのである。まさに「成立」学園の根っこもそこにあったのだろう。しかし、今やその「自然2.0」を生み出すエネルギーが充満している学校は少ないかもしれない。

☆成立学園は、その根っこそのものである「自然2.0」という「見えない力」を、どのように「見える力」にトランスファーしていくのか。そこを少し考えてみたい。

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