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かえつ有明 共に学ぶ力のアウトプット

☆MITのシーモア・パパート教授の学びのビジョンは、かえつ有明で一つの形となった。私たちがふだん当たり前のようにつかっているiPhonやiPad、ノートパソコン、Web、ゲーム、オンラインからダウンロードする音楽。

☆こういうハードを世に出した天才は、アラン・ケイだし、ジョブスだし、ビル・ゲイツだし・・・ということは多くの人が知っている。しかし、1970年代のころから、彼らにアイデアを生み出す学びのエンジンを授けたのは、シーモア・パパート教授だ。

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☆教授のアイデアの新しさは、今もICTの世界や教育の世界で大切にされている。ゆとり教育の目玉であった総合学習の基本的なアイデアは、教授のアイデアを借用している。教授はアイデアがミックスされるのは大歓迎。だから、見守っていたのだろうが、どうやら日本の教育ではうまく接ぎ木できなかったようだ。

☆そして、総合学習ベースのゆとり教育から脱ゆとり教育になった今、そのベースはピアジェの系譜の「構成主義的学習観」。なんと、この学習観こそ、シーモア・パパート教授のアイデアである。またも、教授の夢は密やかに継承されている。

☆今年かえつ有明は、全国の学校に向けて公開授業を行った。サイエンス科という思考力を育成する独自の教科の実践発表と、そのエッセンスが他教科にも埋め込まれていることを証明するイベント。そこで、学芸大の副学長佐藤教授が、かえつ有明で構築した学びこそ、「構成主義的」学びそのものであると驚かれた。シーモア・パパート教授の夢の一つがかえつ有明で花咲いたのである。

☆しかし、その果実は、予想以上に豊かであることに、昨日気づいた。それは、7月22日の体験授業をナビゲートする生徒たちに出遭ったからである。彼らはそのイベントでプレゼンすることになっており、そのリハーサルを行っていた。

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☆おそらく生徒会のメンバーであると思うが、彼らは、6月のオープンキャンパスで配布するための学校パンフレットを編集した。そして、7月22日の体験授業でもリニューアルした学校パンフレットを配布するのだが、その再編集過程をプレゼンし、かえつ有明の学びがいかに楽しいか伝えたいという。楽しいからやる気がでてくる。だからさらなるアイデアが生まれてくる。アイデアはチームでシェアし、またまたおもしろい企画が生まれてくる。好循環の学びのチームが存在しているのである。

☆これはシーモア・パパート教授が聞いたら、大いに喜ぶだろう。教授は、道具というものは使えるだけでは、学びの目的の半分しか達成しない。子どもたち自身が、自ら編集プロデュースできるようになったとき、学びは大変な喜びに満ちると。

☆パンフレット編集メンバーは、自らブレスト会議を開催し、企画をデザインし、それに基づいて取材をし、編集会議を何度も開き、一方で印刷までの製作工程を軌道修正しながら、作っていく。できたパンフレットを使って、ナビゲートするだけではなく、パンフそれ自体を作ってしまうのである。このクリエイティビティとシェアは、彼らはサイエンス科の授業で学んだという。

☆授業からアクションに転移したということだろう。そして、このリハーサルに広報担当の先生方と副校長の石川教頭が立ち会っていた。しかし、先生方は何か指導するのではなく、あくまで、「unsupervised」で、ファシリテータに徹していた。

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☆リハーサルの段階では、まだまだどこを修繕するか試行錯誤なのだが、1人で悩むのではなく、チームで再びブレストしながら、パワーポイントのデザインやスピーチの仕方を再編集していく。授業の中で養われる思考力が、学校全体の教育活動に活かされている。

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☆共に学ぶ環境の形成過程は、学校の教育の質の層を分厚くしていく過程でもある。ハーバード大学のハワード・ガードナー教授が、ポートフォリオも大切な学びのアウトプットだが、プロセスフォリオこそが重要なアウトプットであると、「多次元知能」の本の中で語っているが、かえつ有明では、着実にこの新しい学びを現実のものにしている。

☆今春、同校は大学合格実績が大飛躍して受験業界に注目を浴びているが、その理由を示すプロセスフォリオをリサーチすることを受験生・保護者には期待したい。

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