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≪私学の系譜≫ ヴォーリズの意味[02]

☆ヴォーリズの覚悟として頭が下がるのは、日本で宣教師として神の国を語るというのでなく、日本で自ら生活して、神の国の細胞をつくることを目的としたということである。そしてその神の国の細胞の拠点として近江を選んだわけである。もっとも、ヴォーリズが生きていたら自らの意志というより神の意志であるというかもしれないが。

☆それはともかく、宣教師としてではなく、自ら生活してとはどういうことなのかというと、母国の宣教師として所属している教会グループから補助金をもらわずに、経済的に自立しながら、布教活動を行っていくということであり、≪私学の系譜≫の基本的な経済の運営の仕方があるのである。

☆それゆえ、ヴォーリズは自らのタレントを活かし、メンソレータムを販売したし、病院も経営したし、建築事務所も経営した。その利益は、すべて神の国の細胞をつくりだす教育に使ったことだろう。

☆そして教育こそ、その細胞を増やすのに適していたし、その細胞の一つが清水安三だった。ヴォーリズははじめ八幡商業で英語教師をしていたが、それ以外にも中学で教えていた。そこで出会ったのが清水安三であり、彼を自らの主催するバイブルクラスに誘った。

☆それがきっかけで、清水安三は大津キリスト教会で洗礼をうけることになる。私が今清水安三のことについて思い出しているのは、実はこの「大津」の地の事件を痛ましくおもっているからだ。ヴォーリズや清水安三の精神が教育で喪失されているのではないかと思ったからである。

☆≪私学の系譜≫の大事なところは、自分の信念を権力から補助されない経済感覚で普遍化するということであり、その信念はman for others(MFO)をおいて他にない。これはキリスト教学校であろうとなかろうとほとんど共通している。

☆このようなMFOの精神を経済的にも独立自尊の気概で乗り切るメンタルモデルを失ったところに、昨今の大津事件のような悲惨な事件が起きる。それは私学でもこのMFOの経済的独立自尊を失っている教師集団が占めると起こる。

☆経済的に独立し、その経済運営が健全な精神で運営されている以上、組織はオープンになるし、コミュニケーションを大切にするし、寛容の精神をもつ。そしてそのような雰囲気が経営陣、教師のみならず、生徒や保護者にも浸透するはずである。

☆さて、清水安三であるが、氏は受洗後、同志社の神学部に入学し、卒業するとすぐにヴォーリズにならい、神の国の細胞をつくりに、中国に渡る。そして大旱害などで、病気や飢餓で困窮している子どもたちを3万人以上救ったのである。時代は第一次世界大戦のときであった。

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