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子どもの学び 時空トンネルの入り口[04]

☆時事通信 8月7日(火)13時9分配信 によると、若者のうつ病治療に効果のあるコンピューターゲーム「SPARX」が開発されたということである。うつ病のティーンエージャーにとって、コンピューターゲームは、人と人とのリアルな対面でのカウンセリングと同様の治療効果を上げるという報告が、ニュージーランドのオークランド大学Sally Merry博士らの研究によって、2012年4月19日版のBMJ(British Medical Journal)に報告されたというのである。

☆SPARX:とはSmart, Positive, Active, Realistic, X-factor thoughtsの頭文字から作られた名称。

 

SPARXのデモ動画(The effectiveness of SPARX, a computerised self help intervention for adolescents seeking help for depression: randomised controlled non-inferiority trial)

Sparx

☆このゲームは7つのレベルから成っている。BMJによると、

Description of content and core skills covered in each module (level) of SPARX

Level 1—cave province: finding hope

Psychoeducation about depression and an introduction to the cognitive behavioural therapy model

Introducing GNATs (Gloomy Negative Automatic Thoughts)

Introducing “hope” (people recover from depression)

Relaxation: controlled breathing

Level 2—ice province: being active

Activity scheduling and behavioural activation

Relaxation: progressive muscle relaxation

Basic communication and interpersonal skills

Level 3—volcano province: dealing with emotions

Dealing with strong emotions: anger and hurt feelings

Interpersonal skills: assertiveness, listening, and negotiation

Level 4—mountain province: overcoming problems

Problem solving using STEPS: Say the problem, Think of solutions, Examine the pros and cons, Pick one and try it, See what happens

Cognitive restructuring-identifying SPARX: Smart, Positive, Active, Realistic, X-factor thoughts

Level 5—swamp province: recognising unhelpful thoughts

Cognitive restructuring—recognising different types of GNATs

Level 6—bridgeland province: challenging unhelpful thoughts

Cognitive restructuring—learning to challenge or “swap” negative thoughts for helpful ones

Interpersonal skills continued: negotiation skills

Level 7—canyon province: bringing it altogether

Recap of all skills

Mindfulness: tolerating distress

Relapse prevention: knowing when to ask for help

☆つまり、

レベル1:洞穴地帯 希望を見つける

レベル2:氷地帯 行動的になる

レベル3:火山地帯 怒りなどの激しい感情のコントロール

レベル4:山岳地帯 問題解決

レベル5:低湿地帯 認知の再構築、支えてくれない思考に気づく

レベル6:橋梁地帯 否定的な思考を支えてくれる思考にシフト インターアクション 

レベル7:渓谷地帯 苦痛に寛容な精神、助けを求めるときを学ぶ

☆このようなステージをクリアすることによって、うつ病から解放されるという。しかし、これは、うつ病の子どもだけではなく、一般の子どもにも必要な成長の過程である。

☆ロード・オブ・ザ・リングやハリポタ、宮崎駿アニメなど、すべてにこの7つのステージは入っている。ファンタジーや物語の構造と同じである。

☆ただ、「ゲームの性質上、銃撃戦は入れることができない。だから機関銃や爆弾の代わりにキャラクターに杖を持たせ、ネガティブな考えをポジティブなものに変える光の玉を撃てるようにした。どこで妥協が成り立つかという問題だった」というところは、一般のファンタジーとは異なる配慮がなされているようだ。

☆たしかに一般の子どもたちは、そこまでの配慮をしなくても自分で対応できるとしても、やはりSPARXスキルは必要であろう。だからこそ、ファンタジーは読み継がれてきているのである。このようなスキルは、レベル7にあるように、コラボレーションも含むから、学びの時空トンネルを通りぬけるときに不安を拭い去り、勇気をもって前に進めるようにするアイテムでもある。

☆このアイテムを身につけることが、21世紀型教育の目的であり、逆に言えば、このSPARX発想なき20世紀型教育では、学びの時空トンネルを通り抜けることはできなかっただろうし、うつ病やその兆候やいじめなどの転移が起こっていたのも了解できるはずである。

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