かえつ有明 2013年ネクストドア計画公表!
☆今春、かえつ有明は、共学中高一貫の第一期卒業生を出し、その飛躍的な合格実績に多くのメディアから注目された。学内でもその話題で盛り上がっていたが、一方で、教師、在校生、卒業生が一丸となって、その成果の土台であるサイエンス科のプログラムの公開授業、一期生進学指導のプログラムの分析を着々と進めていた。
☆その姿は一喜一憂せず仕事をする創設者嘉悦孝の勤勉ミーム(怒るな働け)である。そして、その成果に基づいて2013年にむけてのネクストドアプロジェクトの行動プランが完成した。昨日から行われている東京都私立学校展で、ブローシャーとしてやっと形になったのである。30ページにも及ぶ傑作であるが、その骨子を私の独断と偏見で図に書いてみた。
☆このブローシャーの凄いところは、石川副校長によると、一期生の成長の軌跡の分析成果に基づいて、多くのプロジェクトチームが、それを換骨奪胎してプランを立てたところにあるということだ。
☆だから、各プロジェクトチームのリーダーである教師の顔と分析の手伝いをした在校生や卒業生の顔が惜しげもなく登場している。
☆21世紀型学力であるクリティカルシンキングと国際教養のプログラムは、絵に描いた餅ではなく実際に行われてきた実績があるが、そのシステムについては本邦初。
☆上記の知の一覧は、2月に全国レベルで公開されたサイエンスプログラムの授業のときに配布された米国の認知科学に基づいたインテリジェンスの発達段階とかえつの生徒の成長段階に合わせて創意工夫されたオリジナルで普遍的な知性観である。
☆そして感動的なのは「心の教育」。芦澤教頭の「勉強ができるそれだけで終わらない柔軟で強い心の育成を」の思いが体験授業を中心にプログラムとして実を結んでいる。特に圧巻なのはパラオ研修プログラム。
☆自然の中で、サバイバル体験をする。便利な都心の生活とは一転して、自然以外に何もないところに投げ出される。しかし、それは人間の存在の故郷に投げ出されるという実存体験である。ハーバード大学のハワード教授が、多重知能の八番目に、相当悩んだ末に埋め込んだ実存知性である。これは、ジョブスの禅への気づきやマズローが5段階欲求説を改善しようとして、第6の段階として禅を意識した段階にも通じている。
☆そしてこの実存的体験を通してもう一方のパラオの第二次世界大戦の痕跡を眺めると、人間の存在を根っこから脅かす戦争の恐ろしさに気づくという仕掛けになっている。人類と共に生きるグローバル人材を育成する重要なプログラムの一つである。他校にはまねのできない勇気と信頼がないと実現できないプログラムだ。
☆こうして、国際教養と心の教育のプログラムに「共学だけど、授業は別学。」という一期生が体験済みの学習環境を統合することによって、次々と壁を乗り越えて成長する軌跡をプロデュースするのが、かえつ有明のネクストドアプロジェクトの目論みである。プログラムをたくさん作ることはとても重要であるが、最重要なのはそれらを作って終わりではなく、臨機応変に活用していく教師の「プロデュース力」にあると嘉悦克校長は語る。
☆最新の未来社会学者A・エリオットによると、「プロデュース力」を支えるミーティングこそが、21世紀型新しき社会の資本となるということなのである。そして、紙媒体であろうと電子書籍であろうと、ツールがいかに進化しようと作家との対話である大量の読書が、ミーティングの土壌を生成していることは間違いない。かえつ有明において図書館「ドルフィン」が学びの拠点であるのはそういう意味がある。
☆回廊にはドルフィンモチベーションを高める認知科学のアフォーダンス理論が活用されている。
☆嘉悦孝の女子教育のスキルが脈々と生きている空間なのである。
☆さあ、このようないま、ここで、そして未来を拓く教育のアイデアが詰まったかえつ有明のネクストドアブローシャーを手に入れに、私立学校展にいこう。新しい時代に対応した学校を探すとき、このブローシャーがモノサシになるからである。
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