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Google Japan 製品開発本部長 徳生健太郎 グローバル人材のロールモデル

日経ビジネスONLINE2012年8月9日(木)、上阪 徹さんは、「グーグル日本の顔は“異端”の男 彼の運命を大きく変えた高校時代の決断」という記事を掲載。これがおもしろい。

☆「“異端”の男」とは、Google Japan 製品開発本部長の徳生健太郎さんのことである。学芸大附属高校3年の時に、同級生同様に東大にでも行けたはずなのに、中退。1986年のことである。そして、ボストンの全寮制学校に入り、アイビーリーグのコーネル大学に進学。コンピュータサイエンスを学び、スタンフォード大学大学院を修了して、世に出たのが1995年。

☆いろいろ経験してというかチャレンジして、2003年にググール入社。2009年に日本法人に席を置く。日本は写真文化。地図検索に写真を埋め込み、それを世界に広めたのが認められた。詳しくは上記記事のサイトをご覧いただきたいが、おもしろいのは、東大への道をあっさり捨てて、米国に行ったチャレンジングな精神。

☆1986年といえば、日本はバブルへの道を謳歌。その時点で誰がバブル崩壊を予想していたのだろうか?徳生さんは、単純におもしろくなかったのだろう。バブルへの道は、成功ワンパターンの時代でもある。そこから抜け出たかったのではないか?

☆高校時代に明快に意識はしていなかったと思うが、世の中は実は、すでに日本のガラパゴス化を危惧していた。1983年に「留学生10万人計画」が実施され、グローバリゼーションにどう対応するか話題になっていたのだ。ただ、そんなのはおかまいなしが、土建国家に守られていたイビツな市場原理社会日本。

☆学芸大附属という国家エリートを育成する学校だからこそ、違和感を感じたのではないか。

☆それはともかく、1995年にグーグル入社とは、すごい歴史との出会いである。ウィンドーズ95が日本でも席巻し、そこからITはどんどん個人と世界を結び付けていった。そのブリッジがインターネット、Webの世界であることは間違いない。

☆グーグルは20%ルールがあり、それは仕事の時間に自由な発想を研究するための割合。そこからどんどんアイデアが生まれてくる。しかし、百聞は一デモにしかずで、きちんと説得力あるプレゼンをしなければならない。

☆まさしく、21世紀型の学びそのもの。グーグールもまた学びの組織だった。学芸大附属は、おそらくは、学びの組織ではなったのだろう。徳生さんは、明快に意識していなかっただろうが、偏差値モノサシより世界標準のモノサシの方を好んだということなのだと思う。

☆そしてグローカルとはまったく違う概念のグローバルなモノサシを作っているというのが、注目に値する。グローバル企業や国家が、発展途上国の習慣などに合わせて、あるいは妥協しながら技術や商品を売っていくというコンセプトではなく、ローカルなものでいいなあと思うものは、世界でも通用するはずだという普遍化をするというコンセプトなのである。

☆グローカルというアイマイな言説で、結局は何も動けない政策ではなく、よいものを広めようというシンプルなグローバルなコンセプトこそ、グローバル人材のロールモデルとして最適ではないだろうか。

☆さて、日本は、まだまだガラパゴス社会。2008年に「留学生30万人計画」を打ち出した。これも、秋入学やIB日本版導入、高校留学生推進同様、グローバル人材育成に政財学が躍起となっていることの一環である。

☆しかし、まだ海外体験や留学生との交流、英語力向上などハードパワーの路線。ソフトパワーを育成することがグローバル人材育成に不可欠である成功事例を見いだせていない。そんな折、徳生健太郎さんのこの記事は、大いに参考になるに違いない。

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