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陸前高田市から問い返す近代教育のミッション

☆毎日新聞(2012年8月29日)によると、

世界最大規模の建築展、第13回ベネチア・ビエンナーレ国際建築展の開会式が29日、北イタリアのベネチアで開幕。東日本大震災の被災地で復興支援のための集会所を建設し、そのプロセスを展示した日本館が、「ヒューマニズムあふれる計画」と評価され、国別参加部門で最高賞となる金獅子賞を受賞した。

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☆コンセプトは、

近代以降、建築は個のオリジナリティに最大の評価を与えてきました。その結果、建築は誰のために、そして何のためにつくるのか、という最もプリミティブなテーマを忘れてしまったのです。


すべてが失われた被災地において、いまこそ、私達は建築とは何かを、0(ゼロ)から再考することができるのではないでしょうか。「みんなの家」は小さな建築でありながら、近代以降の建築のあるべき姿を問う大きな課題を背負ったプロジェクトです。この課題をヴェネチア・ビエンナーレで世界の人々に問うべく、私達はいま、陸前高田市に「みんなの家」をつくろうと試みています。

☆何度も問われてきた近代建築空間の意味。「屋根や壁は物質に過ぎない、物質的空間ではなくて、そこに住まう人間の生命のための虚空間こそがポイントなのだ」とは、岡倉天心が大切にした茶の空間であり、そこに共鳴共振したのはフランク・ロイド・ライトだ。この空間コンセプトは、言うまでもなくタオである。近代建築とは真逆の発想。

☆この岡倉天心のアイデアは、≪私学の系譜≫のアイデンティティでもある。それは私立学校にはたいていある茶室やチャペル、聖堂に宿っているが、それでは、近代建築の中にオアシスを残しているようなもので、学校全体の空間がそうなってはいない場合がほとんである。

☆今回のプロジェクトは、その記憶を忘却しないようにというだけではなく、広く公共的な空間に根付かせようというゼロからの問い直しのプロジェクト。同じ問いなおしが、これからの教育のミッションでもあるはずだ。

☆それにしても、ヴェネチア。最近紹介されて読んで同じような響きに感動した思想も、イタリアのマッツィーニ。世界は同じ呼吸をし始めているのかもしれない。

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