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グローバル人材はソフトパワーから 人気企業ランキングに反映

☆政財界は、グローバル人材育成のために躍起となっている。東大の秋入学や大学の淘汰、高校の留学のススメ、日本版IBの話題、TPPによる米国の教育の進出・・・。

☆一方で、内向き志向の日本の企業人や大学人では、どうしようもないともいわれている。

☆しかし、どうやら内向きというのは、単に企業環境というか市場の原理の健全な動向だったようだ。だいたい政財界がグローバル人材をと叫んでも、生活者が必要としなければどうでもよい話である。

☆ところが、金融がうまくいかなくなってきたり、輸出産業が円高に苦しんだり、デフレが国内需要と供給のバランスを崩壊させてしまったり・・・。国内市場でやっていけなくなってきた。

☆だから、国内産業が基盤の企業、つまりルーチン化したハードパワーに依存していた企業は衰退が激しい。外務省の方が、ソフトパワーについて次のように語っているサイトがある。

ライフスタイル、電気機器、ファッション、ポップ・カルチャー、家具、建築…どれひとつとっても、日本はセンスがいい。センスというのは、どこに付加価値を見出すかで決まるものだと思うけど、日本人が大事にするものを、世界の人々も大事にしてくれる、平和を愛する心だったり、「侘び寂び」っていう不完全な美しさだったり。

☆5年前の記事だから、今となっては、このソフトパワーに対する感覚は、違っているということが今となっては明らかになってきたようだ。ソフトパワーの源泉は、このようなセンスや平和を愛する心、美しさにあるが、それを形にする創造力がソフトパワーである。もっというならば、創造的破壊のパワー、イノベーティブな破壊的創造のパワー。形あるものは常に更新される。しかし、その源泉は不易であるという不易流行の力こそソフトパワーということ。

☆だから、ポップカルチャーもスタイルをシフトする創意工夫が必要、平和を実現するシステムを再構築することが肝要、美しさを表現するコンテンポラリーアートの革新が重要ということになる。この創意工夫や再構築、革新こそがソフトパワーである。

☆このことに就活する学生は気づき始めた。楽天の『2013年度卒 新卒就職人気企業ランキング』によると、

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☆1位は電通、2位は伊藤忠、3位はオリエンタルランド。昨年16位だった博報堂も10位と上昇。電通、博報堂は、ソフトパワーの総合商社と考えてよいだろう。オリエンタルランドは、そのサービスのソフトパワーはすごいというのは、行けば一目瞭然。一見ハードだが、ここには不易としてのファンタジーと流行としてのアートサービスがある。

☆伊藤忠などの商社は、円高に好影響を受けているのかもしれないし、グローバル人材育成の流れに乗っているというのもあるかもしれないが、ハードパワーをグローバルにやりとりするときの理性の狡知は、すさまじいソフトパワーである。

☆ここにきて、もう一度電通やオリエンタルランドを振り返ってみよう。なるほど理性の狡知である。パラドクスを解決するイノベーティブな力を持っている。もちろん、パラドクスは、自ら設定するということがソフトパワーである。

☆リニアな論理では、グローバリゼーションは解決できないが、それを解決する糸口がソフトパワーにあるのだろう。就活する学生はそのことに自覚的ではないが気づいている。つまり、それは市場の原理なのである。市場の原理とは、無理やり権力でなんとかするものではなく、理性の狡知という見えざる手を戦略的に使うのである。

☆個々の言動は、いまだソフトパワーなど能書きだと言って使おうとしない。しかし、戦略的にそういわせておいて、結局ソフトパワーを使わざるを得ない状況を創り出す。それは歴史とか理性とかいうものだとヘーゲルは言ったけれど、あるいはアダム・スミスは見えざる手だと言ったけれど、それを見える化するのが現代のマネジメント。ソフトパワーのリスクマネジメント、つまり理性の狡知のリスクをマネジメントするリーダーがグローバルリーダーというわけ。

☆とろころで、楽天の人気企業のランキングは、業界別5位までの企業も公表している。そこで、各業界別ランキング5位までの企業の総合ランキングの平均を出した。数字が少ないほど上位5社の総合ランキングは高い。

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☆2位の食品・農林・水産業界であるが、5位までの企業というのはアルコールを含む飲料商品を扱っているところである。常に微妙な味の開発に余念がない。快感をつかさどるパワーこそソフトパワー。

☆そういえば、理性の狡知が活性化する場といえば、古から知の饗宴と相場は決まっていたなァ。

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