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家電業界を通して教育を問い返す

☆日経2012/8/3 6:14 によると、

シャープは2日、2013年3月期の連結最終損益が2500億円の赤字になる見通しだと発表した。1951年3月期以来、62年ぶりに無配となる。同日、決算を発表したソニーは通期予想を下方修正したものの200億円の最終黒字を確保する見通し。パナソニックも最終黒字を見込む。テレビを主力としてきた3社の再建スピードに違いが出てきた。

☆シャープは、「パネルから薄型テレビまで一貫生産する事業モデルの改革が遅れ」たことが赤字拡大となったという。

☆これに比べ、特にパナソニックなどは、

薄型パネルの生産設備集約など構造改革の効果が400億円(営業利益の段階)に達し、収益を押し上げた。通期は500億円の最終黒字を目指す。

☆ということのようだ。生産過程の構造改革は、モノづくりにおいて、一瞬であるが、相対的にハードパワーからソフトパワーを生み出す。しかし、それは、常にグローバリゼーションの中で、商品価格と労働力の価値の高低で浮き沈みがあり、最終的にはハードパワー化する。

☆つまり、構造改革という名の、要素組み換え主義が問題なのである。要素の組み換えが新しくなれば、その時点ではソフトパワーが発揮されているように見えているが、実際にはハードパワーの組み換えに過ぎない。

☆この限界は、日本の教育が作り出しているものでもある。要素還元主義的学習観、つまり20世紀型学習観の中で育った優秀生を企業が採用していくのだから、当然の帰結である。

☆20世紀型学習観から21世紀型学習観への転換とは何を意味するのか?それは学びをデザインするハードパワーの教師の独占から生徒とのシェアへの転換なのである。ハードパワーが広くシェアーされることによって、つまりオープンソースと化することによってソフトパワーが持続可能になる。

☆それはすでに知識基盤社会を生んだコンピュータのプログラミングの世界で証明されている。ハードパワー内の構造改革から、ハードパワーを広くシェアできる構造改革へシフトすることによって、ソフトパワーは創発され続けるだろう。

☆そして教育改革も同様である。教育イノベーションは大切だが、文科省―教育委員会―教師内のハードパワーの改革だけでは、何も生まれない。むしろ隠ぺい構造が強化されるだけだろう。企業ならトックに赤字転落しているはずである。そうならないのは、血税を奪取しているからに他ならない。

☆教師が知っている解答をこたえられるかどうかの問題を生徒に出す。このコミュニケーション行為がすでに、抑圧型であり、隠ぺい主義型であり、ハードパワーを独占していることに気づくことができない日本社会。

☆その問いと答えの両方のテキストを生徒にシェアし、問いそのものやその解答に創発性があるかどうかを考えるのが、学びなのである。

☆家電にしても、たとえば、テレビの機能の進化を競うよりも、テレビの機能の進化を競っている状況自体が社会問題を解決できないのではないかと、家電業界は問うべきなのであろう。すると新たな市場が創出されるはずだ。もっともそれを考える優秀生は、日本の学校化社会では育成されていない。どうしたらよいのだろう・・・。人材も再び海外からということか・・・・・・。

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