新しい教育とICT
☆そして、従来型の教育でも、従来の教育の目標を到底達していないのであるということも。この認識はきわめて重要である。というのも「シラバス=(準備→授業→テスト→改善→・・・)→解放・好奇心・問い」という教育ができていない。
☆シラバス、準備、授業、テスト、改善、解放、好奇心、問いといった教師と生徒のインタラクションがバラバラになっているし、一方通行型講義形式で、インタラクションになっていない場合が多いからだ。そして、この中で最も弱い部分は、テスト作成学とテスト測定学(評価)がまったくきちんとできていないことである。
☆私たちも、私たちの子どもも、歪んだ評価軸でずっと評価されてきたのである。あらゆる領域で、教育が遅れているのは、子どもの評価が恣意的なままで来ているということである。客観テストと言われながら、それは選択肢問題のことで、その選択肢が恣意的でないかどうかのチェックを誰もしてこなかったのである。
☆欧米や市民革命が起こっている国々だったら、親や子供は当局に対し権利の闘争を起こしているところだし、学校の法化現象がシラバスにおいて起きてもおかしくないところである。信頼性や正当性のないテスト評価で、自己否定感を植え付けられ、現代型鬱病におちいり・・・。まして、いじめの原因もそこにあるかもしれないということにでもなったら・・・。
☆しかも、恣意的と主観的、客観的と相互主観的の違いを吟味することなど教育の世界では皆無である。この議論をスルーしてコミュニケーション力が重要だなどと言っても、結局は道徳的な話で終わってしまう。科学的ではない。教育は科学ではないという方までいらっしゃるから困ったものである。
☆では、新しい学びはどうだろう。従来型の教育関係者になかなか説得できなかったのは、評価が科学的でなかったからである。しかも、大学合格実績と関係ないと思われてきた。
☆IRTの分析によって、難易度の違うグループの分析をすることができるのが新しい学びの理論である。それはたとえば、エンパワーメント評価(EE)によると、可能なのだ。しかし、総合学習など、評価はしない時間であるという無責任な時間となってしまっているのが現状で、これでは、せっかくの新しい教育への道を自ら閉ざしてしまうことになる。
☆もちろんIRTもEEも絶対的な評価ではない。あくまでもそれぞれ知識習得の評価、思考力発想力の評価の一つのモデルに過ぎない。
☆しかし、なんのモデルもなく教育を行うとしたら、それはもはや科学ではないのである。教育が科学である必要は、民主主義の根本的な思想である。仮説や証拠のない教育は、抑圧以外の何ものでもない。クリティカルシンキングがなぜ日本の教育で広まらないか。それは教育が科学でないから、声の大きいだけの自称クリティカルシンカーがけん引してしまう可能性が大だからである。見えないファシズムの危険性の空気を読んでいるからなのだ。
☆しかし、一方でクリティカルシンキングがないことによって、教育は強育の監獄になっていることにも気づかない状況でもある。
☆このジレンマをどのように解決すればよいのか?以上のことを現場で議論することは難しい。そこで、結局はチュニジアやエジプトと同じである。ICTの導入なのである。クリティカルシンキングは、現場での葛藤が大きく、強いリーダーシップが存在しない場合、組織は崩壊する。そんな組織は崩壊したほうがよいという考えもあるが、それでは、多くの子どもが大迷惑。現実的ではない。だから、ICTやネットでジレンマを解決しようというわけである。
☆これで、ICTやインターネットの影の部分のみをあげつらって、導入しない学校は、新しい教育の波が、怖いからであるということが了解できるだろう。危機管理は強力であるが、リスクマネジメントができないということである。
☆今日も、ある保護者から、なぜあなたは私立中高一貫校だと言うのですかと聞かれた。私立中高一貫校がすべてというわけではないが、公立学校よりは少なくとも教育を以上のような科学するところがたくさんあるからですよと回答した。まわりの保護者がそんな難しい話はわからないと一蹴したが、その保護者は、わかりますと反応。
☆それでも公立中高一貫校を受験するかどうか迷いますと。私立中高一貫校は、きちんと教育を科学していることを説明する必要がありそうだ。
☆そうそう、まして大学。科学しない大学が多い。というのは教授会が問題だといういわれている大学が多いわけだが、それこそが科学していないよとPRしているようなものである。およそ学問とは縁遠い。官尊民卑、学尊民卑とは科学とは真逆の構造である。
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