« 広尾学園の奥行きの向こうに[01] | トップページ | サイエンスに力を入れる学校を探そう »

広尾学園の奥行きの向こうに[02]

☆広尾学園の人気は、グローバル教育、サイエンス教育、ハイレベル教育にあるのは確かだが、本当のところはそれらの要になっているハイヤーオーダーシンキングの環境が随所にあるということだと思う。

Img142

☆新学期に実施されるオリエン「スコレー合宿」にそれは顕著に表れるが、ふだんの教科の授業にもきっちり。むしろこの日々の学びにこそ、ハイヤーオーダーシンキングの奥義があるのかもしれない。

☆たとえば、社会科。ICTの活用により、映像などで、遠くの出来事を自分事にひきつけ、そのうえで、論述を中心に思考力を育成する授業のようである。思考の原点は、痛みや好奇心を感じるところにしかないからだ。

☆特に重要なのは、中3と高1の社会科のカリキュラム。

Img143
☆高2からは、社会は選択になるので、どうしても分野に偏った勉強になりがち。しかし、社会現象は、世界史も日本史も地理も倫理も政治経済も一塊になっている。断片的知識や分野で問題解決することはできない。だから、高1までに多角的に思考できる土台を気付くために、社会のそれぞれの分野を横断するカリキュラムが組まれているのだろう。

☆大学入試はそこまでしなくてはよいではないかと言われるかもしれないが。早稲田やMARCHはそれでよいかもしれないが、東大をはじめとする国立大学や慶応大学は、そうはいかない。カール大帝の統治や秀吉の統治の特徴を論述させるような問題が目白押しなのだが、統治は、多角的な思考力が欠かせない。つまり21世紀型教育を明らかに意識している問題が出題されるのである。

☆広尾学園は、毎夏教員研修で、カリキュラムや授業のシステムを自己評価し、改善しているようだ。サイトではその様子が写真で見ることができるが、圧巻なのは入試問題の研究をし、入試問題のエッセンスである思考力を抽出して、カリキュラムや授業に染み渡らせているところ。

☆よく入試問題を全面的に否定する論もあるが、入試問題も変化している。たしかに創造力までは問うようなものは少ないが、論理的、多角的に思考する問題は多数出題されるようになっている。

☆したがって、そのエッセンスを汲み上げれば、受験指導とグローバル人材育成のキャリア教育の統合ができ、実にプラグマティックなハイヤーオーダーシンキング教育ができるのである。そこが広尾学園の魅力でもある。

|

« 広尾学園の奥行きの向こうに[01] | トップページ | サイエンスに力を入れる学校を探そう »

Good School」カテゴリの記事