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聖学院で21世紀型授業体験

☆聖学院は学校説明会のたびに、「思考力セミナー」を開講。同校は、21世紀型教育を標榜している数少ない男子校がゆえ、そのすばらしいインパクトのある教育はまだまだ知られていない。そこで体験授業を公開したのである。

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☆聖学院の21世紀型教育とは、対話型で、コラボ型。対話をしたりコラボしたりするのは、教師と生徒だけではない。教師同士も生徒同士も。生徒は同学年どうしだけではない。先輩後輩のコラボも織り込まれる。また東大生フェローもサポートに参加する。

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☆授業の展開は、小さなモデルのブレストからはじまり、議論をし、自分の考えを多角的に編集していくのがベーシックスタイル。この基礎に様々な応用発展が展開していくのが聖学院のエンリッチメント教育活動の特色。

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☆たとえば、説明会会場にディスプレイされていたレゴ作品もそうだ。独りでつくっているのではない。勝手なものをつくっているのでもない。プロジェクトマネジメントの方法論で、宇宙エレベータや理念を形にしては壊し、壊しては作る、破壊的創造の思考力を育成するプログラムである。P9150871
☆学校説明会では、生徒もポスターセッションで学校の教育を表現する。夏期学校や海外研修のプログラム、糸魚川農村体験プログラムなど、レディネス→フィールドワーク→現地の人々との共同生活→気づき→調べる→議論→編集→プレゼンという壮大な学びのプロセスは、思考力セミナーで体験できる授業展開のベーシックスタイルに種がある。

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☆今回の思考力セミナーでも、文章の意味を読み解くとはどういうことなのか。まずは体験から始まった。座ると腰かけるの違いを、その場で実際にやってみる。言葉の意味を支える身体性を無視しては意味はくみ取れないことを体験するわけだ。

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☆こうして、言葉の意味をくみ取るには、同義語や対義語などと置き換えながら意味の差異を身体を通してイメージされることを学んでいく。「腰かける」という知識は、音韻、文字、文法、身体性、イメージ、気持ちなど立体的な意味に膨らみ、そのときは知識は小さな思考になる。

☆しかし、この小さな思考は、知識の重層的な構造関係として、言語や思考の回路を創り出している。この回路をつなげて、ダイナミックな回路にしていくプロセスが対話であり、100字要約の編集である。そしてその思考の回路は世界を見るヒントになるということだろう。

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☆さらに大事なことは、対話は思考の小さな壁を見つけてくれるメンターによって促されるということ。

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☆思考の小さな壁は、しかしながら、生徒が自分で解決しなければならない最近接発達領域。メンターは答えは教えない。

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☆自己決定するゲートまでいっしょに歩いていくだけだ。

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☆しかし、そこからは1人でいきなさいと背中を押すだけではない。ちゃんと武器を手渡すのである。それがここではワークシート。ICTが発達しても、ICTの中にこの多角的なシートのアプリやアプリを再構築できるメタアプリがダウンロードされていなければ、たんなる箱モノに過ぎない。

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☆しかし、完璧な武器などはない。ゲートを武器を持参し、友達と歩んでも、再び立ちはだかるゲート。でも、ご安心あれ!再び新しい友でありメンターが出現する仕掛けがプログラムストーリーなるしろもの。

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☆今回は、受験生が読んだ素材は、聖学院の先輩のエッセイだった。著者自ら出現して、みんなの読み解きを解題していく。実体験の話に、受験生も引き込まれ、「そのとき先輩は助けようと思わなかったのですか」と質問まで出る盛り上がり。

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☆それは本質的な問題だねと首をかしげながらその場で一生懸命考えながら回答する先輩。

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☆先輩と共に考え、気持ちを一つにする瞬間が最後に生まれた。これで、また一つ成長した。ストーリーは成長物語でなければ!学びのプログラムは、成長物語のシナリオも埋め込まれているというわけである。これが聖学院の21世紀型教育の醍醐味である「共に学ぶ」ということ。

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☆窓の外には、その成長を見守る世界が広がる。その世界を愛するからこそ、世界は生徒たちの成長を見守るのである。ゲートの前で不安と緊張で進めない苦悩の子どもたち。いっしょに通り抜けたり、通り抜けるのを見送ったりするメンターたち。しかし、彼らの愛する拠って立つ世界を信頼しているからこそ、メンターは子どもちを見守ることができる。子どもたちはメンターの信頼に応えようとする。それはまたやがて世界を愛していることに気づくだろう。

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☆さあ、昨今の世界同時的危機というゲートをいっしょに通り抜けるスキルと勇気と世界への愛をいっしょに学べるメンターのいる学校に行こう。

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