東大よりハーバード 本当?
☆日経新聞 2012/9/3付に、「高校生、東大よりハーバード 海外に熱視線 世界で実力磨く」 という記事が掲載されていた。月曜日は、前日が政局や金融・経済がお休みの時が多いので、教育ネタで埋めるから、政財界が好きそうな話を挿入するのだろう。
☆それはともかく、こういうことらしい。
高校生やその保護者が米国などの有力大学への進学に関心を寄せている。米国のハーバード大やイェール大の学生らが8月、日本で高校生向けに開催したイベントには応募が殺到。留学情報会社などへの問い合わせも増加傾向だ。関係者は「外国語の習得だけにとどまらず、国際的に活躍する実力を磨きたいという動機が目立つ」と分析している。
☆まあ間違いではないだろうが、やはり損得勘定ということだろう。東大よりハーバードの方がお得な雰囲気がでてきたということだろう。きっかけとしては悪くはない。ただ気になるのは、生徒1人ひとりがそういう感覚で臨むことに痛みを感じるジャーナリストやイベントコーディネートがいないらしいということ。おそらくそれは教育という分野に限ってのことだとは思うが。
「日本は多様化を進めるべきだ」「均質な社会だからこそ居心地が良いのも事実」。8月、東京都文京区の旅館でハーバード式の“白熱教室”を繰り広げていたのは、日米の大学生と高校生ら。8人前後の小グループで日本語と英語を織り交ぜ、政治経済を議論したり携帯ゲーム機を分解して構造を調べたりした。
☆これだけの記述ではわからないが、というよりも書くことがなかったのだろうが、日本が多様化を進めるべきなのか、それは本当?自分が多様化すればよいのではないか?国家と個人の関係が変わってきていることについてどう考えているのかその様子がわからない。
☆均質な社会?画一化されているだけではないのか?居心地がよい?家畜化されているだけではないのか?
☆片方で、「ニーチェの言葉」なんて本が売れているようだけれど、本当に読んでいるのだろうか?ニーチェにとって、国家は怪物だし、居心地の良いことなど超人は嘔吐を吐きつけよと言うだろう。この聖なる下品な天才を読んでいるだけでも心地はよくない。
☆実際には、そういう議論が出ていたに違いない。しかし、それを拾わずに、東大よりハーバードだなんて、学歴社会の延長上の記事を月曜日から掲載するのは、なんだかなァ。
☆講演者などとして柳井正・ファーストリテイリング会長、槙原稔・三菱商事相談役らの協力も得たというが、呼ぶべき相手が違うのではないか?いやいや資金を提供してくれたということなのだろうか。それなら、その資金で別の人を呼ぶべきだったのではあるまいか?
☆国際的に活躍するってどういうことだろう?金持ちになることだろうか。それはそれで大いに結構だが、ビルゲイツのように、どんなねらいがあるかどうかはわからないが、寄付するというのは良いことではないか。
☆狙いは高校生に国際的な視野を広げてもらうことなのはよいが、それと「東京大を目指していたけど、大教室での講義より少人数での議論が中心など、米国の大学の良さも分かった。」と言う話しはどう結び付くのだろうか。少人数の議論やっても人気のない授業はあるし、そういう授業は閉鎖されるわけだから、少人数であることがなんだっていうのだろうか。それが国際的視野なのか?
☆そして同日こんな記事も載っている。「名門大はハードル高く <二年制>も選択肢」というお話。
ベネッセによると、海外大学に進学する高校生は推計で年間約3千人。ただ、日本でも名前が知られるような大学で学ぶハードルは高い。
出願に必要なSATや米国大学入学テスト(ACT)は、英語を母国語とする生徒向けに作られているため、英語では高度な語彙や記述力が求められる。昨秋時点のハーバード大の日本人学部生はわずか8人だ。
☆何を言っているのかわからない。文化的な理解を日米できちんとやっていないから、トランスファーがうまくいかないだけのことではないか。それに定員があるのだから、全員がはいれるわけではない。ハーバードやそれに相当する大学に入らなければ意味がないという相変わらず学歴社会の延長上で考えている大前提があるから、こういう記事の編集になるのである。
☆それにわけわからないのは、次の文。
英語能力テスト(TOEFL)で求められる点数は、学部入学の方が大学院よりも高いのが一般的。18歳前後の学部生が環境に順応するためには、専門知識があり人格的にも成熟した大学院生より高いコミュニケーション能力が必要と考えられているためだ。
☆だったら大学院から入ればよいじゃないか。なぜそうしない?日本の受験意識では大学と大学院が連続していないからそうなるのである。
☆TOEFLのスコアが高ければ、高いコミュニケーション能力があるというのはおかしいだろう。それであれば、みんながTOEFLがんばれば、いじめも離婚も自殺も戦争も何もない平和で幸せな社会がやてってくる。生徒の人生なんだと思っているのだろうか。無責任な記事である。
☆こういう蛇足もある。
米国の州立大学の場合、二年制大学から四年制大学に編入するルートも一般的だ。藤井さんは「二年制大学でまず言葉や環境に慣れてからの方がうまくいく場合は多い。学費が低く抑えられるのも魅力」と話している。
☆こういう便利主義的編集目線がいけないなァ。インタビューされた側も困ってしまうだろう。なぜコミュニティカレッジがアメリカにあるのか。名門大学にはいりやすいからあるのではないのだ。それこそ選択の自己決定のチャンスとしてあるのだ。選択の自由を尊重している市民革命の歴史を大切にしているからそういうチャンスがある。学歴社会という市民革命を土足で踏みにじる官尊民卑・学尊民卑の精神で、臨むのは、市民革命の歴史を無視軽視する行為である。グローバル人材とは言えないだろう。相手の文化をリスペクトしないのだから。
☆もっとも米国大学も背に腹は・・・なのだろうが。まっ、世の中こんなもんかな。ケセラセラというぐらいだし。。。
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