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変わる教育[03] 富士見丘の教師力

☆伸びる学校の教師は、品格と知性が豊かで、ウィットに富んでいるものであるが、富士見丘の教師もまさにそうである。日本史の関根先生は、木村茂光・樋口州男編『新編 史料でたどる日本史事典』(東京堂出版、2012年8月発行)の執筆を担当している。

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☆同校サイトによると、こんな紹介文が載っている。

史・資料を読むことを重視した本書は高校の日本史を担当する教員に最適の内容となっています。また、国公立大学受験者のハイレベルな論述対策にも利用できると思います。興味のある方はぜひ一度ご覧になってください。

☆なるほど、富士見丘の学びの方法論が紹介されているではないか。「史・資料を読むことを重視した」という表現には、同校の教育のベースにある、フィールドワークや調べたりする探求型の学びの姿勢が見え隠れしている。

☆「国公立大学受験者のハイレベルな論述対策にも利用できる」という表現には、富士見丘で取り組んでいる論文学習があるからそのような表現になったのであり、国公立大学受験者をサポートする覚悟もまた同時に反映している。

☆それは解釈にすぎないと言われるかもしれないが、学校の教師の表現というものは、素直に自らの教育活動で大事にしているものを語ってしまうものなのである。だから、論より証拠、入試問題を見れば、そこに教師力が映し出されているものなのだ。富士見丘の入試問題をみると、ここまで述べてきたことがきっちり反映している。

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☆自然観について自分の考えを書く問題と生態系の変化の予想について回答する問題。理科でも出題可能であるが、これは国語の論述問題。

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☆スモールステップで思考のプロセスを教師と生徒がともに共有しながら、問題を思考するソクラテス対話篇問題。ヴィゴツキーならこれが最近接発達領域の学びだと言っただろう。

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☆太陽光発電や雨水の利用、エコトイレットペーパーの生産をしている富士見丘ならではの問題でもあるが、3・11以降明確に幕開けした脱化石燃料の時代感覚を問うている。社会の問題であるが、理科でも国語でも出題できる視点である。

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☆自然災害を解決する方法を考える問題。やはり、国語でも社会でも問えるから、理科の知識、つまり科学の力でという条件が付けられている。このように、4教科の入試問題には、思考力を重視する問題、創造力を重視する問題、プロセスを重視する問題がデザインされている。

☆ここに富士見丘の教師力の強さが反映しているといえよう。まさに入試問題は学校の顔である。

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