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変わる教育[05] 栄光 国語の素材文は教師が執筆

☆入試問題は学校の顔。その学校の教師の実力や性格がわかる。栄光の今年の国語の論説文は、国語科教師が執筆した文章。小学校6年生にも理解できる表現で、しかしながら思考のレベルは高度。もっともそんなことを意識しなくてもできてしまうところが、惜しいが。

Eiko

☆不断から緻密で豊かな作文指導を行っている。だから、そのモデルを入試の素材文で教師が自ら示せるのである。さすがではないだろうか。

☆問いそれ自身は、マニュアル化のメリットとデメリットを整理できれば、解けてしまうから、平易な文章だと、受験業界などでは評されるかもしれない。

☆そういう意味では、小学校6年生が読んで理解できるように二元論的なロジックで書かれているから、塾に行かなくても、ふだんから読書をし、学校の授業に真剣に臨んでいるだけでできる問題づくりをモットーとしている栄光学園の面目躍如といったところ。

☆しかし、実際には、マニュアル化のパラドックスの理解をさりげなく埋め込んでいるところは、たんなるマニュアル化のデメリット批判では終わらない高度さがある。効率化を目的にマニュアル化を進めると非効率に陥ってしまうのである。

☆シンプルが好きな海外で、日本の多機能ガラパゴス装置が好まれなくなってきているのは、このパラドクスを回避しているからである。

☆それはともあれ、もう一つおもしろい仕掛けが埋め込まれている。カトリックというのは、ミサがマニュアル化されていて、どこの国に行っても、言語がわからなくてもミサに参列して理解できるのだが、栄光学園もカトリック学校。カトリックの精神を形骸化させると、マニュアル化の弊害が起こる。その弊害を取り除く思考のレベル、つまりメタ認知能力を、入学試験の段階で問い返している、その姿勢はすごいオープンではないだろうか。

☆ハーバーマス的なコミュニケーションの段階では、最上位のレベルを、入学試験のときに要求しているということになる。もっとも、受験生はそこまでは気づかないだろうが。

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