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変わる教育[11] 新しい「高校基礎学力認定試験」にシフトを期待 

☆朝日新聞(2012年10月5日)によると、

大学入試と大学・高校の教育は変わるのか。大学入試が主なテーマとなるのは久しぶりになる中央教育審議会。新たに設けた「高校と大学の接続特別部会」が9月28日、初めて開かれた。高校と大学の「接続」はテクニカルな言葉だが、わかりやすくいえば高校と大学の教育がそれぞれ円滑に連動していない現状があるので、大学入試も含めて生徒・学生主体の力を底上げするために議論しようということだ。1回目から、「高校の基礎学力を認定する試験が必要」という意見が複数の委員から出された。ほかに、大学入試センター試験の科目をこれ以上細かくせずに総合的な科目を設けることや大学入試そのものも1点差を争わないグレードに変える意見もあった。大学入試や高校教育の学力認定にかんしていえば、大胆な構想につながる可能性がある。

☆大胆な構想につながる可能性とは何だろう。ここでチラリと表現したわけだから、ウラをきちんととってのことだろう。

☆おそらく、今話題のグローバル人材育成の流れがあるのだろう。IB(国際バカロレア)研究を補助金までだして高校に委託する事業も始まっているのだから、この流れと「高校基礎学力認定試験」は結びつくはずだ。だから「大胆な構想」ということなのだろう。

☆というのも2003年以降、日本と米国とではだいぶ事情は違うのだが、ともあれ米国ではDual Enrollmentのプログラムが加速した。米国版高大連携のプロジェクト。IBはこのプログラムの1つに包摂されている。

☆現状すぐに行うには、大学入試センター試験を年4回のチャンスにし、認定水準を超えるまでチャレンジできることにする。高校2年から受験可能にし、高校2年で水準を越えたら、高校3年ではAP(アドバンス・プログラム)に参加できるようにする。

☆APは、自分の進路に合わせた講義を志望する大学のネット講義で受講する、ボランティア、TOEFL(iBT80点以上目指す)やIELT(6.0以上目指す)研鑽、基礎学問(フロイト、アインシュタイン、ルソー、マーク・トウェインなどから一人選択)、PBL(プロジェクトベースドラーンニグ:ネット講義、ボランティア、基礎学問を通してテーマを見つけ、英語で論文を書く)という5種類の単位をとることを目的にするプログラム。AP修了認定機構は、大学入試センターでよい。

☆大学入試センター試験には、ショートエッセイを取り入れる。3種類の問いを設定。好きか嫌いか判断力を問うもの、2つの政策のどちらかを選んで論証することを問うもの、テーマに対する考え方を問うもの。結局TOEFLと変わりはないが、日本語で。

☆これらは、仕組み的には、すでに多くの国で実行していることだから、すぐにも可能である。また、学習指導要領をいじる必要がない。

☆予備校に行かなくても、高校で教科書レベルを十分に学んで認定される力をつけることが可能だし、思考力を十分に育成できる。もっとも、現状ではますます予備校に行くだろう。そうならないように教師力を磨くということ。ここに競争心が生まれればそれはそれでよし、すみわけができてもそれはそれでよしである。

☆ショート・エッセイが3種類あるので、リベラルアーツの基礎(この3種類はたとえばカントの三批判に相当するから)もできる。APによって、飛び級制度をつくらなくても、はやめに専門分野の学問を体験できる。AP時期に受講した大学に入学した場合、単位はそのまま取得したことにできるようにすれば、飛び級以上に効果があるだろう。他の大学に進学した場合も、それはその大学が判断して互換の換算率を決めればよい。

☆IBやAレベルの調査をするまでもなく、来年から可能である。大学入試センターの英語は、TOEFLの互換も可能にしておくとよい。これは、補助金でではなく、どちらを受験してもよいという選択式にしておけばそれですむ。試験料のコストの問題を議論する必要がない。

☆ここまでやっておけば、オックスブリッジ以外であれば、高校卒業後受験可能である。オックスブリッジにどうしても行きたいけれど、高校時代に留学ができないという場合は、大学に入ってからトランスファーすればよい。

☆こうすれば、高校全入から大学全入になり、大学の経営も助かるだろう。そしてグローバル人材の輩出は大量になり、就活先は世界中になる。ベトナムやマレーシア、タイなどのアジアの国々は、歓迎するだろう。学費は格安50年ローンを、国が組めばよい。ローンを返す名義人はもちろん、本人にする。返済時期は、25歳以降から50年。保険なんかつけてはダメ。彼らが潤沢な生活をするようになれば、税金を払うのだから。人材育成に投資はつきものだが、法改正か法制定すればよいだけのことだろう。

☆そうすれば、その延長上に、新しい税金制度も確立するだろう。国民はただ税金を払うだけではなく、お金を借りたうえで利子税金を払うということにすればよいのだから。

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