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変わる教育[13] 土浦日大中等教育学校の思考力育成問題

☆土浦日本大学中等教育学校が、昨今話題になっているグローバル人材育成の先進校であることは、広く知られているところである。他の学校もそういわれているところもあるが、いったいどこがグローバルなのかは入学してみなければわからないところが多い。

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☆ところが、同校の場合は、入学試験問題にそのメッセージがしっかりと刻まれている。国語の100字レベルの論述式問題や算数の数論などに、それは明らかであるが、それが理科や社会にまで反映している。

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☆たいていの学校は、国語と算数に思考力問題を出題するも、理科と社会は知識問題が中心の場合が多い。しかし、土浦日大中等教育学校は違う。上記の理科の問題は2010年出題のものであるが、これはヘモグロビンについて詳しい知識を知らなくても考えればできる問題なのである。日常的に変化する自然現象を見たことがあればよいのである。変化とは外部から力が加わるか、内部に差異が生じたときに起こるという体験知識(知識が全く不要ということではないのだ)をモデルに考えていけばよいのである。(なお、この酸素ヘモグロビンの問題やその内容については、2012年鴎友学園女子の理科でも素材として扱われている。やはり土浦日本大学中等教育学校の教師力のレベルの高さがわかる。)

☆思考力とは、既習事項や体験の知識をモデル化して、それに重ね合わせながらズレを修正しながら探究していくことであるが、同校はそのような思考力を理科の授業で養っているということが了解できる。

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☆2010年の社会でも、同じコンセプトの問題が出題されている。日常生活の消費行動を測る化する際に、他の商品の消費行動と比較すればわかる問題。ここで思考するとは、日常の消費行動を、比較分析することによって、今度は逆に人間の消費行動を予想するという抽象的思考、大学に入ればマーケティングに結びつく思考を育成する問題を出題。

☆消費行動のモデル化を考えるわけであり、日常的な知識以外に特別な知識は必要ない。土浦日大中等教育学校に入学するには、知識を憶えているだけではなく、思考することが要求されるわけであるが、多くの学校の問題は、特別な知識を覚えているからできるのか、それがなくても思考できるのかを区別して問題を出題しない。

☆その点、土浦日大中等教育学校は、基礎知識を問う問題と思考力を問う問題を明確に区別し、思考力育成型問題の場合は、できるだけ純粋に思考力が問えるようにデザインしている。入試問題は学校の顔である。それゆえ、同校の授業のビジョンがよくわかる問題である。

今度の14日、同校で入試問題解説会がある。東京、神奈川の受験生にとっては、入試問題解説会は、少しはやいのではないかと感じるだろう。茨城県の入試は12月から推薦入試が始まるが、東京・神奈川は2月1日から始まる。2か月の差があるわけだ。2か月前に緊張感を体験し柔軟な思考力に接しておくことは意味がある。参加してみることで、モチベーションもあがるだろう。

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