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変わる教育[16] 麻布 反省の日 本当の「変わる」というコト

☆麻布学園では、10月8日になると、相模湖遭難事件を思い出し、無念の若き同窓の意志を継承している。「反省の日」と呼び、日本が近代国家を形成して以来、次々と忘却のかなたに追いやった精神を再び呼び覚ます教育を行っている。

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(麻布のサイトから)

☆変わる教育とは、奈辺にいってしまったかわからなくなり、迷路にはまった教育に、軸を取り戻すことである。

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☆それは京都大学の建築と同じように、軸を呼び覚ますことである。京都大学のキャンパスは、次々と継ぎ足され、散策していると、軸がどこにあるのかわからなくなってしまう。しかし、この京大軸に拠って立って、建築はデザインされている。

☆日本の近代国家を支える教育も、≪官学の系譜≫は時代の流行に右顧左眄し、流転し継ぎはぎだらけの教育デザインになってきたが、閉塞状況に陥るたびに、再び≪私学の系譜≫が呼び覚まされ、その軸が鳥瞰される。

☆この時代を俯瞰する内省の日が、麻布にとって10月8日である。この≪私学の系譜≫のアイデアは、戦後教育基本法改正前夜、氷上校長と出会って生まれた。戦後閉塞状況をぶち破った記念碑が崩れようとしているとき、その軸をどこに保守するか。それは≪私学の系譜≫の燈を自ら守ろうとする学校の教育の中にであると。その教育の一つが、麻布にとって「反省の日」である。

☆この≪私学の系譜≫をわかりやすく物語っている文章を見つけた。相模湖遭難事件当時の痛みを思い出しながら、麻布学園の真髄を語った故橋本龍太郎氏の講演録である。麻布学園PTA文化講演会に第8回卒業生として招かれたときのものである。政治家橋本龍太郎の評価は、私には判断がつかないが、麻布OBとしての語りは、迫力もあるし、真実一路であるし、なんといっても思春期時代の永遠の少年の存在の重要性を語っている。

☆痛みを忘れずに背負いつつ、未来を拓く人間像を希求するのは今も昔も変わらない。それを忘却している現在の教育は、もう一度変わらなければならないのだろう。この意味で、それぞれの「反省の時」を持っている生き方は、公立、私立を通過したかどうかに関係なく、≪私学の系譜≫に立っているのである。

☆この生き様を排除しようという教育政策や行政、あるいは何らかの権力には立ち臨まねばならない。その風が吹いているのが「変わる教育」の今なのである。

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