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変わる教育[18] 広尾学園の教育空間デザイン

☆広尾学園の新校舎三期工事も完成。広尾の地にその全貌を表した。この教育空間デザインはどんなイマジネーションを道行く人に、そして在校生にインスパイアーするのだろうか。

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☆ベルリン都市新開発を想起する方もいるかもしれない。ナチに排撃され、メンバーはそれぞれの道を自力で歩き続けた第二次世界大戦期を乗り越え、89年ベルリンの壁崩壊後に、再び蘇ったあのバウハウス。そのメンバーの一人ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの建築流儀が林立するのがベルリン都市新開発市街。

☆広尾学園のアウトサイドは、そんなイマジネーションを広げる。ミース・ファン・デル・ローエは、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトとともに20世紀の三大建築家の一人である。しかし、彼ら3人のデザインは時空を超えてインパクトを与え続けるもう一つのモダニズムである。

☆近代化の影はファシズムを生んだ。もう一つの側面は光を生んだ。バウハウスは最終的には近代化の影の後にやってきたポストモダニズムとは違う、未完の近代化の光である。本ブログでは、前者の近代教育を≪官学の系譜≫と呼び、後者の近代教育を≪私学の系譜≫と呼んでいる。広尾学園の教育空間のアウトサイドデザインは、シンプルだが、全体が巨大なファサードで、どこか伝統を感じる。≪私学の系譜≫のランドマークでもある。

☆しかし、その驚きはインサイドにも続く。

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☆「バウハウス創始者グロピウスと親交があったブルーノ・タウトが日本に亡命してきたとき、桂離宮を見て、日本の文化に合理性と機能性と伝統性と神秘性の合一を見出し、これぞ新しいモダンだと考えた」(「もう1つのモダンか、ポストモダンか」参照)のだが、広尾学園のインサイドにはその新しいモダン、つまりもう一つの近代があるではないか。

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☆それは大橋学園長室に掲げられている板垣退助肖像画にはっきりと表れている。広尾学園創立の士は、あの自由民権運動を、麻布の創立者江原素六とともに協力して行った板垣退助だったのである。≪私学の系譜≫の第一世代がインサイドにはあるのである。

☆肖像画の意味。それは昨日亡くなられた丸谷才一氏の翻訳されたジョイスの小説に深い。ジョイスは小泉八雲とともに近代の影を表現し問いかけていた。そのとき夏目漱石も明治の文明開化に胃をキリキリさせていた。それが≪私学の系譜≫である。

☆漱石は外発ではなく、内発であると。教育空間のデザインは、アウトサイド→インサイドと進み、そこに住まう人々の内面に届く。大事なことは内発的モチベーションとイノベーションである。

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☆しかし、その内発的モチベーションやイノベーションをデザインする生態系は教育空間である。

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