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変わる教育[21] 文化学園大学杉並中高 好奇心と価値と

☆本日15日(月)、文化学園大学杉並中高で、教育関係者向け説明会が開催。メディア、教育及び塾関係者など子どもたちの未来を真剣に考えているメンバーが多数集まった。

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☆同学園の多様な教育内容とその有機的なつながりについて、そしてもちろんその成果であるインパクトについても、シンプルに、そしてデータに基づいてきっちりプレゼンされた。

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☆松谷校長はビジョンを語り、青井教頭はその具体的教育内容や実践について語った。「知的能力」「身体的能力」「芸術的能力」をなぜ高めなければならないか。それは価値あるものに燃えることができる人間に育てたいという建学の精神に基づくものであり、そのためには「自ら考える生徒」に育てることでもあるからである。

☆自ら考える人間とか価値あるものを大切にできる人間とは、言うは易いが、その具体的な方法論となると、なかなか難しい。しかし、文化学園大学杉並中高では、その実践の経験値を重ね、論理的に方法論としてまとめあげてきた。そのため、両先生のお話を拝聴している側も、聴きながら多様な教育内容を一枚のイメージとして描くことができた。

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☆これだけの多様な教育内容が、有機的に結びついているということは、それだけ教育の質が高いということなのである。そして、その教育の質を支えているのは、いうまでもなく教師の見識であるが、それが一目瞭然わかるのは、入試問題である。

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☆上の問題は同学園の独自のA型入試問題の一部。いわゆる思考力育成型問題であるが、この問題は脳科学の専門知識がなくても(日常的体験知識は必要)、与えられたテキストやデータを分析して考えていく力があればできる。つまり未知の世界を自ら考えて開く問いが作成されている。

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☆だから、入試広報部長の小島先生は、一般試験は、どちらかというと学んだ力をきっちりみる問題だが、A型入試は学ぶ力や学ぼうとする力をみる問題。従来の入試だと、どこの学校でも学んだ力が得意な生徒にのみ有利な問題が出題されてきた。しかし、学ぶ力や学ぼうとする力をみる問題は得意だが、学んだ力は不得意という生徒も、文化学園大学杉並中高の教育の考え方からすれば、受け入れねばならない。学びの入り口は、生徒によって違うからである。その多様性に柔軟に対応するのがA型入試。実際A型入試で入ってきた生徒も、伸びているのであるという例を挙げて説明された。

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☆そして名誉校長野原明先生から、日本の教育を支える私学の役割についてメッセージが投じられた。野原先生は、元NHK社会部記者で教育問題を専門としており、今もNHKで折に触れ解説している。 2000年より学校法人文化学園の運営に関わり、2001年から2012年まで文化女子大学総合教養系教授兼文化女子大学附属杉並中学校・高等学校校長を務めた。

☆日本の教師は教えすぎる。これでは、自ら考える力は育たない。そこで、生徒の内発的思考を回転させるために学びの体験や対話を大切にすることを目標に掲げ、同学園の教育の質を豊かにしてきた。一方的に情報を伝達するだけの講義形式授業が、いかに生徒の内発的思考やモチベーション、好奇心を生成しないかについては、先日京都大学の公開研究会で、ハーバード大学の応用物理学者マズール教授がプラグマティックな手法で証明したばかりだったから、大変納得のいく話だった。

☆それに同学園の高校の修学旅行は、パリである。芸術教育を重視している同学園であるから、当然だと思っていたら、パリのユネスコ本部で、日本人の女性職員に、世界で活躍することとはどういうことなのか、世界の痛みを背負い、どのように立ち臨むのかということなどについて講義を受けに行くプログラムがあるという。

☆なるほど、本当に軸がブレていない教育が浸透している。というのも、学んだ力、学ぶ力、学ぼうとする力を、グローバル人材育成のために必要であると提唱したのは、ユネスコ本部であるからだ。本物の教育を実践する奥行きの深さは、学習指導要領の枠組みに囚われていてはできない。野原先生のメッセージは、教育の破格な創意工夫をということだったのではあるまいか。

P.S.

青井教頭によると、学園の英語のプログラムは、「ライバルは世界である」というモットーで創意工夫されており、常にソフトパワーを強化しているということだ。そのリサーチや検討を、今も進めており、来年度には、さらなるプログラムをお披露目できるということである。教育の質の向上に尽きることはないということだ。

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