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変わる教育[30] 土浦日大中等教育学校 ハーバード流儀

☆先日10日(水)、京都大学高等教育研究開発推進センターの第84回公開研究会に参加したときのことはご紹介した。エリック・マズールハーバード大学教授(物理学・応用物理学)が、20世紀型の講義形式がいかに情報伝達だけで、参加している学生に好奇心をインスパイア―できていないかを、21世紀型講義形式の授業で証明したおもしろい研究会だった。

☆そのときマズール教授の基調講演をうけて、松下佳代教授(高等教育研究開発推進センター)もプレゼン。マズール教授の講義の教育学的位置づけを解説するものであった。

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☆松下教授によると、マズール教授のピア・インストラクションというアクティブラーンニグは、次のようなプロセスになっている。

事前学習

問題

解答1

討論

解答2

説明

☆200人規模の講義でも、クリッカー課題を出せば、解答1から解答2のプロセスで、自分の考えが変わったり深まったりするインタラクションも可能であると。さて、お気づきのことと思われるが、この討論→解答2を、一般の講義授業ではすっ飛ばしているのである。だから、情報伝達しか起こらないのである。この話を聴いて、すぐに土浦日本大学中等教育学校の教育は、このハーバード流の授業や体験授業が当たり前のように浸透していると思った。

☆もちろん、ディベートやケンブリッジやハーバードへ海外研修にいくときに、この過程はもっと何回もグルグル回る学びになっているのだが、それよりもなによりも、学校説明会で、プレゼンをする先生方のトークは、すでにマズール教授と同じである。

☆問いを出して、生徒や保護者は話し合いながら考える。一瞬、アクティブにインタラクションのウェーブが起こる。その瞬間がワクワクするのである。クリッカーこそ使わないが、同じ思考過程だし、ノリもたんなる一方通行的な講義ではない。

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☆これは、おそらくネイティブスピーカーが多いばかりでなく、英語科以外でも海外経験の教師が多いので、ファンデンション型のプログラムを体験しているからかもしれない。したがって、同校の先生にとっては、このようなプロセスの授業は当たり前で、まさかハーバード流儀だとは思ってもいないし、京都大学の公開研究会で話題になっているということも気にしていないだろう。

☆だから塾関係者も、保護者も、まして受験生も、同校の教育の世界標準の高さに気づかないままでいる可能性もある。実にもったいない。今週末、同校はオープン・ハウスを開催し、さまざまな探究の世界を表現する。この探究カンファレンスを実現するに当たり、全員が持っているラップトップが大活躍しているということも重要である。

☆OECD/PISAの調査で、15歳の生徒が、IT環境を十分に活用している度合いのランキングを出しているが、日本はどのくらいに位置すると予想するだろうか?ちょっと思考の時間。

☆さて、どうでしょう。解答はOECD加盟国のうち最下位。だから、これほど破格なICT環境と生徒1人ひとりが活用できるという事態は、すばらしいのであるが、見れども見えずなのである。20世紀型教育のレンズでは見えないのである。もし見えたら、それは21世紀型教育のレンズを身に着けているわけで、かなたの未来も確実に手に入れることができるだろう。

☆オープン・ハウスで、土浦中等教育学校のハーバード流儀の教育を体験してみてはいかがだろうか。

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