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変わる教育[51] かえつ有明 教育の「新しい景色」

☆かえつ有明の教育の景色が変わっている。ハーバード大学のマズール教授が、講義は実は生徒の脳を活性化しないことを指摘してから、活性化するような授業や学びは何かという話題が今世紀になって久しく論じられているが、同じようにかえつ有明も生徒の脳を活性化する学びの空間を作っている。それがサイエンス科の授業であったのだが、今回帰国生の英語の授業を見て、それを強く確信した。

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☆ディスカッション形式の哲学的授業の見学を申し込んだつもりであったが、私の約束の日の勘違いで、いわゆるリーディングの授業を見学することになった。しかし、これがかえってよかった。中1の帰国生の授業でありながら、当然ながらオールイングリッシュだったし、文法もエッセイもドラマも多様なアクティビティを50分の中に埋め込んでいる授業であったからである。

☆つまり、それがこの帰国生のレギュラーの英語の授業なのである。自分で考える時とグループで話し合う時のメリハリがきいている。それに素材はシェークスピアの「真夏の夜の夢」で、当時の結婚の習慣と今の習慣の違いや文化的な背景、愛とは何かなど興味深い解説やインタラクションがそこには広がっていた。

☆この多様な学びの活動は、教師の力量もあるのだが、学びの空間デザインがそれをさらに強力にサポートしているのもこれまでのクラス空間と違った。

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☆一般のクラスだと、教室の後ろの壁はロッカーなどが置かれていて、壁が生きていない。ところが今回の教室空間デザインでは、そこにはプレゼンボードが置いてあり、生徒がつくったプレゼン用の模造紙が貼ってあった。ポスターセッションなどが頻繁に行われていることがすぐにわかった。

☆ロッカーは、窓側のあいたスペースにおかれ、そこに生徒は自分の教材を入れていた。ネイティブスピーカーの教師は、本を手に取ったり、電子ボードを操作したり、PCを操作したり、生徒が文法問題を解いているときに、エッセイを集めて、不十分な場合はランチタイムに話し合う約束をしたりと無駄のない多角的な情報を生徒たちとやりとりしていた。

☆教師も生徒も一度に多角的な情報のやりとりをしながら、一方でタスクに集中するという授業の展開。だからといって、次から次へと目まぐるしいわけではない。もし、これらを一つひとつ時間順序に行っていったら、そりゃあ目まぐるしいだろう。しかし、同一時間にいくつも情報を処理できるから、高密度の時間がゆっくり進んでいく感じなのである。

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☆情報が直線的に時間を進んでいくのではなく、多様な情報が同時並行的にやりとりできることがインタラクションの意味であることが明確に理解できた。単純に一方通行ではなく双方向的であるという形式的な違いではなく、情報量の処理密度が高いかどうかという違いが重要な意味だったのである。そして、それが教育の質だということなのだ。

☆知識ではなく思考であるというのは、メタファーに過ぎない。知識も情報であるが、どれだけたくさんの情報が同じ時間にどれだけのスピードで、しかも全然ストレスを感じない自然な感じで処理できるかが質に転換することなのである。その転換装置がインタラクションとかディスカッションということであり、ディスカッションが長い時間行われてつらいなとメンバーが思ている状態は、形はディスカッションだが講義と変わらない密度感のない情報が処理されているのである。

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☆このところ、石川副校長は、11月23日の作文対策講座のプログラムづくりのためのプレセッションを、高校3年生や中学3年生とディスカッションしながら構築するヒントを得ているが、このような授業は楽しいというのが、生徒たちの反応である。

☆楽しいというのは、これはやはり多くの情報を高密度に処理しているディスカッションがうまくいっているという反応に違いあるまい。上のディスカッションのシーンは、空間の形と高密度の時間が統合され、ものすごいイノベーションが生徒の脳の中で生まれている瞬間である。

☆どんなに高密度の時間が展開しても、それを自然な形にサポートする空間デザインがなければ、うまくいかない。どんなに空間デザインがすばらしくても、情報をリニアーに説明していたのではうまくいかない。

☆帰国生クラスのみならず、サイエンス科でも、そして放課後の学習支援の時間などでも、このようなアクティブラーンニングの「新しい景色」としての時空が増えているかえつ有明である。そしてこれが21世紀型教育であり、学力や人間力を逞しくする学びの時空なのである。

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