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変わる教育[54] 21世紀型 「学び」「講義」「成長物語」①

☆21会(21世紀型教育を創る会)の学校の先生方とともに学んでいるうちに、やっと学び学や思春期学がみえてきたような気がする。

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☆今までは、学びと講義の対立軸で考えられてきたが、それは座標系のうちの一つの象限だけで考えられてきた。だから縦軸の学びか横軸の講義か、どちらが21世紀型かというような表層的な議論が多かった。ところが、学びでも1人ひとりの才能が開花するコラボレーション型学びと集団主義的で道徳主義的な共同学習とは違っていたのだ。

☆また、講義にしても、知識伝達型講義とピアインストラクション(隣人同士の議論)を導入した知識創発型講義とではこれまた違っていたのである。

☆20世紀型教育とは、この知識伝達型講義と集団道徳共同学習のエリア(第Ⅲ象限)のパラダイムで行われてきた。だから、縦軸横軸両方のベクトルのバランスがよいベクトルaは学歴エリート、ベクトルbは労働者、cは中間管理職という(あまりに大雑把だが)のような教育と就活の格差が生まれていたのである。

☆この世界を牛耳る国際社会のエリートを育てるべく戦後できたのが、知識創発型講義と集団道徳共同学習のエリア(第Ⅳ象限)である。第Ⅲ象限では、道徳がファシズム的なものだと独裁政治や帝国が出来てしまうという反省があった。そこで、国際的視野で対話しながら普遍的道徳を背景に知識を創発していこうという国際バカロレアに象徴されるようなノーブレスオブリージュな人材が創出されてきたのである。

☆しかし、第Ⅲ象限の道徳観から見れば、第Ⅳ象限の知識階級は相対的に個人主義的にみられてきた。

☆一方、知識伝達型講義に嫌気がさし、才能開花型学習にむかった典型的なプログラムが総合学習である。しかし、東大を頂点とするピラミッド型パラダイムは第Ⅱ象限にはないために、第Ⅲ象限というガラパゴス領域からみれば、大学進学実績の出ない役に立たないプログラムだと否定された。そして反動的な新学習指導要領が生まれ、再び第Ⅱ象限というガラパゴス領域に自閉しようというのが今問題になっている。

☆もちろん、新学習指導要領の中には、パラダイムを第Ⅰ象限に促進しようという構成主義的思想が流れている。しかし、教科書会社や教育委員会、現場がそのことを理解していないために、第Ⅱ象限から第Ⅲ象限に逆戻りしてしまったのだろう。

☆本来であれば、第Ⅰ象限にいかねばならなかったというその構成主義とは何かというと、89年のベルリンの壁が崩壊し冷戦が終焉とバブル崩壊、9・11、リーマンショック、3・11と次々続く惨事が示唆する欲望資本主義の転換希求が、もたらしたもので、その流れの一つの代表例がMITメディアラボの学び観である。それがここでういう才能開花型学習である。それともう一つ知識社会における知識の格差を是正するためのリサーチOECD/PISAの動き。これがハーバード大学の流れにある知識創発型講義である。

☆そして、その流れ、つまり第Ⅰ象限のパライムの中から生まれてきたのが、クリエイティブクラスである。たとえば、ジョブスやビルゲイツやスピルバーグやピーター・ジャクソンである。

☆グローバル人材を育成しようと考えている日本企業はまだ第Ⅱ象限から考えているが、すでに海外で展開を強めているユニクロなどは、無自覚ではあるが、第Ⅰ象限にシフトする可能性がある。もしそうしないならば、かつて海外で成功し、今は失敗している日本の家電企業のようになることは火を見るより明らかだからである。

☆それから、言うまでもなく、私がリサーチしているグッドスクール、中でも21会校は、すでに着々と第Ⅰ象限での教育実現を進めている。

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