変わる教育[56] 聖学院 スキルを超えた21世紀型教育の完成Ⅰ
☆21世紀型教育は、スキル面とファンダメンタル面の2つの層がある。言うまでもなく、現在模索されている21世紀型教育は、産官大学や教育産業はスキル面、私立中高一貫校の多くはファンダメンタル面に偏りがち。しかし、イノベーションとはファンダメンタル面とスキル面の両層が変動することである。その意味で、両層が相乗効果を生み出し、新しい教育を生み出している先進的私立学校が聖学院である。
☆そして、そのことを先週10日(土)の学校説明会で、コンパクトに表現しつくした。説明会が聖学院のビジョンとメンタルモデル、システム思考、チームワーク、自己マスタリーという学びの組織態であることを見える化したのである。
☆戸邉校長の講話は、グローバリゼーションの端緒が、今東南アジアにあることを提唱。そこから未来の突破口に気づく問題意識をもとうと。しかし、それはたんなるファンダメンタル層の理想を語っているのではない。タイのバンコクからチェンマイ、そしてチェンライにはいり、そこで東アジアで政治経済教育的に抑圧されている子どもたちと世界の痛みをシェアしている「タイ研修旅行」を久しく実施している。このプログラムこそ21世紀型教育のスキル面とファンダメンタル面の両層の結晶体である。
☆タイと言っても、そこはもうミャンマーに近い。その地は、日本では想像もできない多民族地帯である。英語がいかに重要であるかと同時に、いかに役立たないかを身をもって生徒たちは感じ入って帰国する。英語なんて難しいと言っていられない世界の現状を体感してくるのである。
☆コミュニケーションが大事だというのはたしかにそうであるが、なぜ大事なのか、胃袋がキリキリするほど内側からその重要性に気づいて帰国する。そして再認識、再準備をしてまた行くのである。そこで、活動している人たちに触発されて、国境なき医師団のような組織を作りたいとか、国際政治を学ぼうとか、商社をつくって、市場経済の平和浸透のフェーズを創り出そうというカント的発想の生徒も出てくる。そもそもリーダーシップとは何かという哲学的問い返しをする生徒も。今世界が希求しているグローバル人材とは、このような青年に期待がかかっているのである。その息吹と気概は本になっている。
上記冊子で文章を書いているメンバーのうち4人が座談会を行っている記事も参考になる。→「道は通じた!―― タイ研修座談会」
☆そして校長は、説明会と同時開催している「思考力セミナー」を紹介した。すでに定員はいっぱいだけれど、チーム編成を増やして参加できる準備をするからどうぞと。この「思考力セミナー」は、聖学院の授業のエッセンスがつまったモデルで、日本で唯一のプラン。このようなプランがどんどん他の学校でも実施されるようになれば、日本もこの苦境を乗り切れる人材をいっぱい輩出できると先見性をアピールした。
☆思考力セミナーは4回目。あまりに新機軸なので、世に紹介しなくてはと、できるだけ取材しようとしているが、今のところ皆勤賞。この思考力セミナーは、論理的に考える手順になっているから、どの教科にも必要な論理的思考をトレーニングすることになり、結果的に聖学院以外の学校を受験するときにも大いに役立ってしまうほど大盤振る舞い。しかし、本当にすごいのは、そのようなスキル面だけではなく、思考のアイデアをいかに広げ深めるかというファンダメンタルフェーズを立ち上げるシステム思考のプロットタイプが埋め込まれているということなのである。
☆言葉で説明するのは、とても難しいから、実際に次回の説明会で体験してもらいたいが、ともあれ、なんとか語ってみよう。今回は、戸邉校長の東南アジアの重要性をうけて、ミャンマーのインダー族(インレー湖エリアで生活している)が思考の端緒だった。(つづく)
参照記事)
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