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2013中学受験【35】 桜蔭という場

☆リクルート編集の「キャリアガイダンス№44」の表紙は、いろいろな状況におかれた高校生のキャリアの紹介がなされているのだなとすぐにわかるデザイン。市民生活ベースの幸せをどうつかむのか。。。しかし、ページを開くや、真逆のメッセージが飛び込んできた。

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☆巻頭コラム「希望の道標」に、人権活動家の土井香苗さんが登場している。土井さんの活動からすれば、市民ベースの幸せをつかむ生き方としての根本の人権を守るわけだから、一見真逆ではないのだが、日本の市民生活の幸せが、世界の問題を引き起こしているとしたら、そのときは、権利の闘争の最前線にたって、「自由・平等・博愛」の旗をもって、立ち臨むだろう。

☆もちろん、土井香苗さんは思想家ではなく、法律家としてのベースをもって人権活動をされているから、闘い方は革命家手法ではないだろう。そのへんの具体的な活動は、この記事を編集する前のインタビューの記事がリクルートのサイトに詳しいからご覧いただきたい

☆土井さんは東大法学部在学中に司法試験にパスしている。中高時代は桜蔭だから、もともと優秀であるのだが、そのモチベーションのエンジンがすさまじい。新聞やサイトなどでそこらへんの事情は紹介されているので、興味のある方はサーチしてみるとよいのではないだろうか。

☆桜蔭という20世紀型教育の高峰が生み出す場の力が、少なからず影響していることがわかるはずだ。近代化の矛盾が醸成した20世紀という時代とその時代をけん引する20世紀型教育の場が桜蔭であることはおそらく間違っていないだろうが、それがかえって土井さんのような人材を輩出するというパラドクスは、まさに時代が変わる予兆である。

☆桜蔭出身者で土井さんのような活動家と言えば、ずいぶん前になるが、1950年前後に活躍した「蟻の町のマリア」として愛された北原玲子の話を思い出す。土井さんとはまた違う手法だが、高度経済成長という日本の近代化の矛盾のバブル期に、苦労した子どもたちを守るべく共同生活の場をつくっていた。

☆土井さん同様、このような活動には資金調達の困難がついて回る。共同生活の場である「蟻の町」の認可をめぐって闘ったことだろう。しかし、その闘い方は結果的には人権活動に近いのだろうが、自らの命を犠牲にする殉教という形だった。

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グーグルマップから

☆現在は、「蟻の町のマリア」という名の教会堂のある潮見教会にその魂は生き続けているという。北原さんの活動は、聖フランシスコ会の神父との出会いからはじまったということになっているが、すべての人がその神父に出会ったら、同じような行動をおこしたかというとそんなことはない。

☆今となっては調べる術はないが、桜蔭の20世紀型教育の精度の高さが、ある意味関係しているのではないかとふと思う。

☆この近代という世界で、成功する者、近代という世界の綻びを修復する者。その生き方は違うし、成功という結果の現れ方も違う。しかし、それはやはり成功を収めるというゴールイメージに変わりはないものすごい強い意志が働いていることは確かだろう。

☆それにしても、今回の本誌の編集はなんて凄まじいのだろう。最後の一教師浦島太郎、いやいや浦崎太郎先生の教育活動の紹介記事のメッセージの濃いこと。近代の矛盾の塊の最前線は公立学校である。そこでは、もはや20世紀型近代で成功する者もそれを修復する者も育成している時間はないのだということのようだ。次の浦崎先生の言葉で本誌は締めくくる。

「私は、表面的な改善など考えていません。はしごの継ぎ足しのようなアプローチをとる気もありません。世の中を根本から変えて行こうと思ったら、のんびりしているわけにはいかないのです。」

☆20世紀型近代でいかに成功するか。それもよい。20世紀型近代の綻びをいかに修復するか。それもまたよし。20世紀型近代をいかにひっくりかえすか。リスクもあるが、それもまた大いによいではないか。編集の巧みさに頭が下がる。

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