« 2013中学受験【59】 明大明治 21世紀型教育にメガチェンジか | トップページ | ブラウン大学の学生の活動① »

2013中学受験【60】 私立学校の科学者のめ

☆「第51回生徒理科研究発表会 研究紀要 平成24年2月25日」を頂いた。一般財団法人東京私立中学高等協会文化部が主催し発行している。

Img259

☆オバマ大統領は、理系に力をいれ、これからはICTを駆使したメイカーズの育成が必要と、3Dコピー機なども設置した最先端のメイカースペースを1000校に設置する予定とか。教科書やカリキュラム以上の好奇心を育てなければ、クリエイティブクラスは枯渇する。

☆日本ではどうだろう。相変わらず東大を頂点とした学歴社会で、入試問題を解くことに時間を費やして終わっている。決して無駄ではないが、それ以上の広がり深さが必要なのだが、結局は進学重点校政策が、予定調和の科学現象しか扱えない。これほど自然災害は不確かに頻繁に起こり、新しい宇宙は発見され、いよいよ自らの生命の秘密を開く遺伝子科学が発展しているというのに。

☆そんなことを日ごろ思っていたところ、今回生徒理科研究発表会運営委員委員長の相澤先生(聖学院)からこの冊子をいただいた。ページを開くと、好奇心、発想力、想像力、科学的思考力で満ちた、生徒1人ひとりの発表レジュメが詰まっていた。

☆ガンマ線量の測定と天候の因果関係について調べたり、地球-太陽間の距離を計測しなおしたり、医薬品製造の研究をしたり、発電効率のよい水車の製法を考案したり、実に意欲的。

☆3・11以降の自然災害や電力の問題解決に取り組むものもあり、日本の未来のメーカーズは頼もしい限りである。

☆実験の条件を決めるところから始めたり、自然をフィールドワークしながら仮説を検証したりしているものばかりだから、教科書を捨て、教室を出て科学しようよという心地よい風が吹いていた。そんな研究紀要。

☆相澤先生は、「次なる半世紀に向けて」と題してこう語っている。

みなさんは、この一年間、実験や研究に取り組み本日の大会へとまとめてきました。これは科学的な疑問点を見つけ出し、疑問点を解決するための科学的手法をさまざまな創意工夫を凝らして試し、抽出された結果を科学的に検証し、評価するといった「PISA型学力」を見事に体現する作業なのです。

☆この活動によって、105件の研究成果が生まれたという。この数は東大後期試験の募集定員に相当する数だ。東大の募集定員が100人という設定が意味していることは、日本の近代社会を支えながらも、発想力を阻害してきたと言われている入試では養うことができない創造的才能を見いだす意図がある。

☆もちろん、その意図が実現されているかどうかは話は別であるが、少なくとも創造的才能に着目すべき人数は、毎年100名相当なのであろう。とするならば、大学入試など関係なく、すでにこのような活動が、創造的才能者を発掘しているとはいえまいか。

☆文化部長の中川先生は、巻頭言で宇宙飛行士山崎直子さんの宇宙空間からの一句を引用している。

瑠璃色の 地球も花も 宇宙の子

☆科学は壮大な公平性の目を養う。創造的才能は、日常生活の中の小さな出来事に無限歓喜を見出す科学の目/芽なのであろう。

※本冊子のもくじに掲載されている学校(発表順)。サイエンスに力を入れている学校を探す場合のヒントになる。

明星

桐朋

日本橋女学館

東亜学園高校

渋谷教育渋谷

本郷

広尾

日大三中・高校

攻玉社

佼成学園

立教池袋

光塩女子学院

麻布

巣鴨

明大中野八王子

駿台高等学校

海城

開成

鴎友学園女子

明大明治

聖学院

武蔵野女子学院

駒場東邦

城北

帝京

安田学園

高輪

大森学園高校

富士見

田園調布学園

|

« 2013中学受験【59】 明大明治 21世紀型教育にメガチェンジか | トップページ | ブラウン大学の学生の活動① »

中学入試」カテゴリの記事