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変わる教育[69] かえつ有明 科学の子

☆かえつ有明の中学の理科授業は、「科学の子」を育成するプログラムが埋め込まれている。エネルギーとは何か?あのファインマンの追究した科学者の目を、追視しながら、科学の子の才能を開花していく。たとえば、11月にはこんなプログラムがあった。

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☆法政大学の小池教授の研究テーマについて、いきなり本を読み、そしてそれで終わりにするのではなく、2時間の実験をやり、法政大学に実際に足を運び、小池教授のレクチャーを聴いて、エネルギーとは何かについて考える科学者の目を身に着けるのである。

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☆身近な素材で実験。素材どうしの比較・対照、因果関係の考察を通して、エネルギーの特徴をつかんでいく。そして小池教授のレクチャーで、エネルギーとは何か、さらにすすんで、科学のパラダイム転換の発想を学ぶ。要素還元主義ではなく関数関係主義へという転換。青木先生プロデュースのプログラムを追ってみよう。

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☆動かしてみると電気がつく。それはどういうことなのか。現象の比較・対照、そして因果関係。

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☆さらにメタモルフォーゼ。このとき、電燈の強さや電燈と太陽光発電パネルの距離や角度も実験している。

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☆屋上庭園は、ランチのための憩いの場所だけではなかったのだ。

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☆実験で現象を観察するだけではなく、測る化も。

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☆いろいろな素材を転がしてみる。転がる距離や速度の違いと素材の違いを考察。

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☆理論値と実測値の違いの体験も。数学と理科の共通点と違い。科学は現場でアイデアが生まれる。そして、いよいよ法政大学へ。

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☆こうして、日常生活の素朴概念と実験による上位概念の対比を、さらに理論に昇華していく。そしてその理論を生活に応用していくことで、科学の子は育成されていく。短時間で実験を行っているが、それには綿密に計画されたプログラムと、先輩たちと試行錯誤してきた積み重ねがある。そして大学の教授とのネットワークづくりという中大連携の強い意志が教師にあるから成り立つ授業である。

☆グローバルリーダーを育成するとは、このような体験、実験、先入観、測定、試行錯誤、理論など思考のエネルギーのメタモルフォーゼがダイナミックにプログラムされているという条件設定が重要。教科書を読んだり教科書の実験を追試したりしているだけでは、かえつ有明のように多くの科学の子は生まれない。

☆天才だけではなく、多くの市民が科学の子になれるプログラム。それが教育の肝であろう。

P.S.

青木先生は、自身のfbで次のようにコメントを書いている。

11月24日(土)法政大学自然科学センター長小池教授の講義を受けに中学2年生を連れて法政大学富士見校舎にいきました。大学の大講堂の雰囲気、スライドを使った授業、生徒は大学の雰囲気を味わいながら、エネルギーについて講義を受けました。地球上で使っているエネルギーは、太陽から降り注いでいるエネルギーの一万分の一であること。エネルギーは形を変え、量は変わらず、最終的には熱になること。生徒たちが生きていく世の中では、エネルギーに関する考え方を今とは大きく変化させる必要があること。など、大変興味深い内容でした。

かくして、創意工夫されたプログラムは、アカデミックな内容を、中学生とシェアするために必要だったのである。このようなプログラムのことを、英国のロイヤルソサエティ(王立協会)は、科学コミュニケーションと呼んでいる。











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