脱ゆとりの効果?文科省におもねるメディア
☆朝日新聞(2012年12月12日)によると、
63カ国・地域が参加した2011年の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)で、日本の小学4年の得点が過去最高だったことが分かった。文部科学省は「脱ゆとり」への転換が要因と見ている。ただ、「数学の勉強が好き」という中学2年が4割に満たないなど、勉強意欲は国際平均を大きく下回り、学力とのアンバランスさが目立つ。
☆朝日新聞に限らず、日経新聞も毎日新聞も、但し書きで「脱ゆとり」の効果があったとしている。一体何を恐れているのか?
日本の小4算数の平均得点(全体の平均を500点に調整)は、前回を17点上回る585点、理科は11点上がり、559点。両教科とも95年以降で最高点。ほぼ横ばいか低下が続いてきたが、初めて上向いた。中学2年は、数学、理科ともほぼ横ばいだった。
国・地域別の順位は、小4算数が5位、中2理科が4位で、前回より1位ずつ落ちた。小4理科は4位、中2数学は5位で、前回と同じだった。これまでの最高は、95年の小4理科の2位、最低は03年の中2理科の6位だった。
☆このように書いていながら、脱ゆとりの効果はあったのではないかというのは言語道断。得点が去年よりよかったけれど、順位は同じか落としたというのだから、昨年と比較してどうのこうのではないだろう。相変わらず母集団の中では伸びていないし、むしろ後退しているのである。「脱ゆとり」の効果などないのである。そうはっきりメディアは書くのが妥当だろうに。何を恐れているのか?言論の自由はどこへとはまあ大げさかもしれない。
☆それより、The Economistの今月8日の記事が実におもしろい。ナイロビの学校の生徒が、タブレット型コンピュータを活用して、一気呵成に学力をあげたという教育イノベーションのお話。ビフォー・アフターの差異のものすごさは、顕著であるのは想像がつくだろう。
☆何せ、紙や鉛筆、本のほうが高いのだから、PCが活用されていないときの教育環境のひどさはナイロビだけの話ではない。アジアやアフリカの子どもたちの環境はよく報道されているから想像は難しくないだろう。それが写真のように変身。
☆日本の教育行政は何を考えているのだろうか。コストではなくアセットだよ。
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