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留学生と共に学ぶ2013年

☆ブラウン大学の留学生である熊平さんと小谷さんに学ぶべきことは多かった。その中でもとくに、労働や仕事から解放された活動としての市場経済を創出するアントレプレノイアーシップ=リーダーシップには目からウロコだった。

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☆真剣勝負で自分のやりたいことをやっていると、ブラウン大学の教授やスタッフが同じ学習者としてサポートし合うという体験は、入学するためにトライするところから始まったという。入学の時に大事なポイントは、言うまでもなく偏差値ではない。自分という存在を証明するエビデンスは多数必要だが、なかでも重要なのはエッセイとスカラーシップだという。

☆この両方に必要なのは、自分のやりたいことをやるためにブラウン大学に入学することを証明する「戦略的思考」である。それはスカラーシップをゲットすることを考える時も同じである。

☆それは労働でもなく仕事でもなく、まさに活動なのである。ブラウン大学で自分はみなさんと共に学んでいけるほど自分のやりたいことに真剣なんだ、今までにない学習者としての仲間が加わるのだということを証明する活動なのである。

☆だから、小谷さんは、このような活動をしている最中にも、新しい発見や気づきがあり、学習のインスパイアーがあるという。ここが肝心だ。

☆日本の入試では、偏差値という論理的計算はするが、戦略的思考はスルー。まして、試験の最中に新たな気づきがインスパイアーすることはないだろう。大江健三郎が、東大を受験した時、それをやってしまったので、浪人をしたと語っているが、まさにそうなってしまう。しかし、これでは、世界で活躍することなど到底できない。世界コミュニケーションは、事務伝達ではない。クリエイティブなコミュニケーションだからだ。

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☆共に学ぶにしても、戦略的思考のないメンバーと学ぶのはリスクが高い。そのよい例がリーダーレス・ジャパンだろう。リーダー不在とは、戦略不全ということでもある。もちろん計略はあるのだろうが、戦略と計略は違う。戦略は超自分勝手な学習者がともに立案するが、計略は自分勝手な独断者どうしが秘密裏に立てるものである。

☆さて、熊平さんは、こんな強烈な体験をしたという。3・11のとき、ブラウン大学の教授およびスタッフの方々は、すぐに被災者のために寄付を募ったという。それだけでありがたいことだが、サプライズはこれからだ。被災者は寄付金を受容して終わらせることなく、この状況をきちんと説明しよう、そのことで災害の種類は違っても困窮している人々の姿を共有し、これからの災害防止や備える方法に寄与したいと力を振り絞ったわけである。被災して明日をも知れない極限状態の中で、そのような活動が生まれるや、その旅費や旅先で必要な費用などのためにブラウン大学はさらに寄付をして、その活動をサポートしたのである。

☆この被災者の方々の活動は小谷さんの極限状況の中で生まれるサムシングと共鳴するところがあるということなのだ。だから、ここに活動としての市場経済が創出されることになったのである。日本の多くの学校教育におけるボランティアは、この活動としての市場経済の戦略的思考がないのである。それはNPO活動でも同じような問題が問われているところからも明らかである。

☆かくして、ブラウン大学の熊たちは、自分たちのやりたいことを他者と共に学ぶ意志と環境を創出することを、中高生に伝えようという、新たなキャリアデザインの活動を開始している。来年1月5日、世界の名門大学、ブラウン大学とジョージタウン大学在校生による体験談を話すイベントに参加するとのこと

 
日時:2013年1月5日(土)15:30-17:15

パネリスト:
熊平 智伸(くまひら とものぶ)さん ブラウン大学 3年 (2年次編入)
慶應義塾大学経済学部 2010/04 ~ 2011/09
桐蔭学園高校 卒業
四方 智之(しかた ともゆき)さん ジョージタウン大学 1年
暁星高等学校 卒業

ファシリテーター:
アゴス・ジャパン 代表取締役 横山 匡

☆今後も留学生によるこのような企画が展開していくことになるだろう。もちろん、熊平さんと小谷さん2人は、留学が東大ではなく海外大学に行くことが目的になったというだけに終わってしまっては意味がないと。あくまで自分のやりたいことをやるためにというあのアップルのぶっ放した「クレージーのすすめ」としてのコンセプトを楽しみたいと。

☆2013年は、留学生に学ぶだけではなく、ともに学ぶ活動を企画する親会のようなコミュティがどんどん増えることを期待しよう。

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