ブラウン大学の学生の活動④
☆熊平さんは、驚くべきはブラウン大学の教授のコミュニケーションスタイルであると、学生に、わたくしもあなたたちも共に学ぶものであると語りかけるところからスタートするのだという。
☆熊平さんがブラウン大学の前に2年間在学した慶應義塾大学も、基本はそうであるのが伝統だし、たしかにそのことで有名である。何せ若き福沢諭吉の留学先が、ブラウン大学だったのだから、そのはずだが、元祖本家は、破格ということか。
☆しかし、学習者とは、考えてみれば超自分勝手である。まず自分の好奇心が優先である。そこからしかモチベーションなんてアップしない。しかし、また好奇心とは可能性に生きるということでもある。
☆可能性とは常に確率の問題である。2人の生き様がパラドキシカルに見えるのは、つねに確率の問題を意識しているからだ。最近では、日本の教育でも自分の考えをしっかりもって主張しなさい。理由が大事だよなんていう紋切型でステレオタイプな話題ばかりだ。耳にタコができるほど。
☆これのどこがブラウン大学の学生と違うのか?スーパープレゼンだと言っているではないか。自分の考えと理由をシンプルかつダイナミックに語っていると紹介しているではないか。同じだろう。それとも何かい、意匠が違うとでも言っているのかい?いや、決定的に違うのだ。
☆日本の教育において、自分の考えは、予め決められている。それを表現というフォームにのせて、あたかも自分の考えだということにしている。したがって、その理由もステレオタイプ。理由まで知識として記憶し、フォームに乗せて語るだけだ。
☆つまり同調圧力に屈している。別名予定調和。別名形式的平等。別名偏差値マッチング。慶応大学もその環境から自由になれない。麻布も高校2年以降はそれを受け入れざるを得ない。この同調圧力、ルソーなら鉄鎖に縛られているというかな、そうそう宮台真司さんだったら、空気に縛られていると。そんな状況では、超自分勝手は鬱屈する。鉄鎖をぶちきるか、鉄鎖を背負うか。いずれも精神的には極限状態になるが、自由か奴隷状態か、選択の問題である。
☆留学生との対話は、その事態を映し出す。危うくゆでがえるになるところだったと気づくに違いない。
☆つまり、もう価値観の違いでは済まされないのである。小谷さんは、自分がやりたいことをできるところであれば、東大でもブラウン大学でもどこでもよいのである。でもMITへの権利もあったが、ブラウン大学を選択したのは、そこが自分のやりたいことをできる場だったからだと。
☆なるほど偏差値マッチングとは違う発想である。この違いを、実は2030年に向けて埋めて乗り越える教育政策に転じなければ、世界の舞台で日本がリーダーシップを発揮する余地がなくなる。
☆日本でも多くの人が知っているサンデル教授のコミュニタリアニズムの発想。これが実は2030年にむけてのロードマップのコンセプトだからだ。この発想は、日本にいるとどうも独裁的な組織のようにみえる。あるいは共産主義のようにみえる。
☆しかし、そう見えるのは、自分たちが自らの考えをもたずにステレオタイプになっているからだ。そんなメンバーがコミュニタリアニズムをつくることはできない。それはたしかに恐ろしい。
☆サンデル教授の言っているコミュニタリアニズムのメンバーは、超自分勝手なのである。言い換えれば、学習者なのである。しかし、学習者はともに学ぶコトが大前提である。それは道徳的に共に学ばなければならないのかというと、そういうことでは全くない。
☆熊平さんは、真剣勝負して学んでいる者同士しかサポートし合うことはないのであると語る。あっ、これは国連の壁にあるノーマン・ロックウェルのモザイク画のメッセージと同じである。「自分のしたいことを他者にもしなさい」これである。これが真剣勝負をしている学習者同士の関係なのである。
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