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2013中学受験【86】 開成はどう変わるのか? 日経柳沢校長インタビュー

☆日経2013/1/21 2:00 は、「教員や経営者にも公正な評価 市場原理 必須に 柳沢幸雄・開成学園校長 大学開国インタビュー(5)」を掲載。

開成学園の柳沢幸雄校長(東京大名誉教授)は米ハーバード大での教授経験も踏まえ、学生の成績評価と教員評価をともに厳格化することを訴える。大学を構成する学生、教員、経営者をいずれも公正なチェック・アンド・バランスの関係に置くことで、互いに高め合う好循環を築けるとの指摘だ。企業などが、すぐれた人材にはふさわしい処遇を用意することの必要性も挙げた。

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☆柳沢校長は、大学の改革についてのインタビューに回答しているのだが、次のように開成の方向性についても少し述べている。

「『ネイティブの英語が素晴らしいと思わないこと』を挙げたい。英語は情報交換の道具とみなし、非ネイティブの人と交流することが大事だ。母国語が違う人と英語を共通言語として情報交換していけば、英語でコミュニケーションすることへの心理的な壁がなくなる。本質は発音ではなく、論理の構造だ。必要なのは相手が理解可能な論理構造を作り上げて、伝えること。発音へのプレッシャーのない、非ネイティブの相手と英語で交流するのは面白い。開成でも、そういう形で英語を話す機会をどんどん用意しようと思っている」

☆母国語としての英語ではなく、情報交換の道具としての英語をがんがん活用する機会を作っていくと。そして大事なのは論理構造なのだ。つまり、本質的には変わらないということのようだ。

☆リーダーシップについて、こう回答もしている。

「最近、インタビューで『中高生にリーダーシップを身につけるにはどうしたらいいか』とよく聞かれる。私の答えは『リーダーシップをとれる生徒はすでにたくさんいる。あなたの会社はそういう卒業生をどう処遇してくれますか?』だ。そこがないと、リーダー教育とともに、日本でリーダーシップを発揮するのはしんどいことだと生徒に伝えなければならない。海外の大学に行こうとする開成の生徒には『海外の学部を出たら、その地域で求人している会社や組織に就職しなさい』と言っている。帰国して就職活動に加わればミスマッチが起きるからだ。日本の企業は、主張しなければ生き残れない社会でトレーニングを受けた若者を、新入社員として育てることができない。リーダーの予備軍はいっぱいいる。社会がそれをどう受け止め、どう使うかを考えてほしい」

☆これが開成の本質だ。開成初代校長高橋是清の発想とは大いに違う。論理は大事であるが、それだけで終わるから、リーダー予備軍をうまく活用できない社会が悪いという話になる。柳沢教授も教鞭をとっていたハーバード大学のリーダーシップ論はそんなものではないだろう。

☆市場の原理が大切だと柳沢校長は回答している。しかし、市場は創るものなのである。市場を創らずに、誰かがつくった既存の市場や官僚組織の中で、椅子取りゲームをするのはリーダーとはいわないだろう。柳沢校長は、ケネディーの言葉を引用して、こう述べている。

「『次世代があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたが次世代のために何ができるかを問うてほしい』と言いたい。上の世代が若い世代のために日本をどう変えるか。日本に一番欠けている視点だ。」

☆なんという他力本願。ケネディーの言葉は、聖書の黄金律が背景にある。つまりニューヨークの国連で公開されているノーマン・ロックウェルのモザイク画のレトリックに通じるコンセプト。優秀な人材が日本を変えるリーダーになれない論理構造が開成にはある。高橋是清先生は、凶弾に倒れた邸宅跡地に静かに座っている。何を思っているのだろうか。問うてみたが、返答はない。自分で考えよということか。これぞ市場の原理の本質である。。。

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