教育を変えるソーシャルメディア 必見!市川裕康さんのリサーチペーパー
☆市川さんは、アメリカで話題になっているオープンエデュケーションの潮流をリサーチしレポートとして発信している。「オープンコースウェア(OCW)」、「カーン・アカデミー」(Khan Academy)、「Udacity( ユーダシティ)」、「edX(エデックス)」、「Coursera( コーセラ)」などの情報が詳しい。高等教育機関の話題が中心だが、中等教育レベルでも大いに参考になる。
☆このオープンエデュケーションで議論になっているテーマの例として、市川さんは次の5つを紹介。
【1】ウェブサービスにより私たち一人ひとりがつながりやすくなる中で、学びのプロセスにアプローチする新しい方法は何か?
【2】起業家精神と商業行為~新しい収益モデルがどのように教育の枠組みにインパクトを与えるのか?
【3】ビッグデータと分析~ビッグデータ分析によりどのような新しい教訓を得られるか、またその教訓が教育現場にどのようなインパクトを与えるのか?
【4】分配された調査~個人による調査がますます容易になりつつある中で、教育機関にとってはどのようなインパクトがあるのか?
【5】パワーシフト~リーダーシップと学習の階級制が崩壊することにより、教育の未来にどのようなインパクトを与えるのか?
☆オンライン教育が、米国で加速度的に普及しているのは、イノベーションや資金調達問題の解決のしやすさ、共通言語としての英語の言語覇権など政治経済文化の側面が日本にはないものばかりだからだが、決定的なものは、評価学の存在。これは日本にはない。
☆「学びのプロセス」「教育インパクト」「ビッグデータ分析」「分配された調査」「パワーシフト」の背景に流れる通奏低音は評価学があるからだ。「IRT」「エンパワーメント評価」などネットを流れる「評価コード」のカテゴリー表が100年以上の研究の成果として存在している。
☆SATやiBTとかいう試験のイノベーションの背景には、もちろん「評価学」がある。OECD/PISAのリサーチが可能なのも同じ「評価学」が活用されている。
☆つまりあらゆる判断の通訳可能な普遍コードがある。これは日本ではなかなか理解されない戦略だ。なぜなら、「普遍」という概念が日本には存在しないから。そういう文化が、欧米のリバタリアンにクールジャパンとして喜ばれてきたし、喜ばれているのだろうが。
☆この「普遍」を取り入れた中等教育学校は、広尾学園。昨年末ICT教育のカンファレンスで披露した。キリスト教学校でないのに、どうし導入できたのか。その秘密は「サンデル教授」的リーダーの存在。欧米では、道徳の授業の代わりに「哲学」の授業がある。つまりサンデル教授的発想がある。評価とはカントの三批判の中で、日本ではあまり顧みられない「判断力」のコンセプトのことである。論理でも理性でも道徳でもない「判断力」こそ「評価」の源泉。
☆ここにいたって、果たしてこれでよいのかということになろう。21世紀型教育は、カント哲学を乗り越えなければ立ち上がれない。新しいモデルは、欧米を大いにリサーチしながらも、そこに解答がない可能性がでてきた。その解答を見つけるには、しかしガラパゴスではもちろんダメ。視野を拡大すべくサーチしなくては!
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