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変わるか教育[01] 桜修館の作文の背景に国際バカロレア?

☆元開成の生田先生(国際地理オリンピック日本委員会実行委員会事務局長、駒澤大学)が、よく東大の入試問題は、その分野の先端の情報や成果が素材として活用されると教えてくれたものだが、今や21世紀型教育やグローバルリーダー育成を掲げている学校や大学の問題は、東大に限らず、そういう傾向になってきている。

2013

☆今年の桜修館の作文問題。よくある問題と言えば問題であるが、前年度の問題をまずはみてほしい。

2012

☆格段の違いではないか。両方とも「語用論」的アプローチといえば、そういう言語学的発想をもった教師がいるのだろうが、それにしても今年のテーマは、グローバルではないか。

☆昨年12月に文科省の初等中等教育教育局教育課程課が、「国際バカロレア(IB)の趣旨を踏まえたカリキュラムや指導方法、評価方法等に関する調査研究」を高校に公募。5つの高校が指定校となった。

☆桜修館は、この中にははいっていないが、東大が秋入学やグローバル人材育成コースを創る話には興味があるから、当然IBの話は射程に入っている。教育課程課は、学習指導要領のブラッシュアップと強化を目的にしているから、IBのディプロマの中でもTOKという哲学授業に興味と関心を抱いている。だから5校の指定校のうち4校がTOKを勉強しますと直接うたっているぐらいだ。

☆このTOK(Theory of Knowledge)は「知識の論理」とか「知の論理」とか訳してはいけない。内包的に同型であるが、内包的に同義でないという話らしい。こんなことを言うくらいだから、IBの背景には英米系の分析哲学的素養があるということだろう。

☆この分析哲学は、団塊ジュニアに変わる新保守主義層ヤンキー族には無縁であるから、エリート校にはもってこいのプログラムなのである。ヤンキー系の雰囲気がなくなると、そこには、いじめも体罰も、自殺も一掃できる。文科省が、そんなことを考えているかどうかわからないが、ともあれ今年東京の公立中高一貫校の中で一番人気の桜修館には、ヤンキー系は少ないだろう。

☆で、なぜ今年の同校の作文の問題がIBと関係しているのか?それはIBのTOKの最終問題というのは、知覚と理性はどう違うかとか、情緒と知性はどういう関係にあるかなど、知るということそのものを考える問題がでるのである。トヨタのピンクククラウン「権力より愛だね」は正しいか?とかいうような問題を考えるプログラム。

☆そんなプログラムだから、TOKの最初の授業は、TOKのダイアグラムを知るところから始まるのである。

Tok

☆そして最初に発せられる質問は、「センターって誰?(日本だったらAKB48のセンターとIBのセンターの概念のちがいについて述べよなんて問題が出せる^^)」「インターナショナルスチューデントとは誰のことを意味するのか?」などから始まる。これは生田先生の授業でもあるけれど、まずは白い紙に、自由に世界地図を書いてごらんと。

☆互いに見せて、気づいたことを議論。すると、センターとは相対的なものじゃないか。あなたも私も、センターとして注目していることが違うね、それはなぜ。なにに影響されているのだろうとかブレストが始まる。

☆注目しているもの、詳しく書いているもの、言語を加えているもの、位置の違い、方向の違い、コンテクストの違い、時代の違い・・・いろいろでてくる。それをコンパクトにかつ一気呵成に促進するときに教師は桜修館が提示したような様々なマップを提示するである。

☆そして、さんざん議論した後に「マップ」を「Knowledge」という言葉に置き換える。日本語でいう「知識」とはさすがに違うし、日本語を知らない生徒にとっては、「Knowledge」は権力であるよりも、アイデアを生み出す道具である、あるいはリンクする愛だと気づく生徒も出てくるだろう。

☆これが内包的に同義でないという所以なのである。そんなことはどうでもよいのだが、桜修館の問題は、そういう背景があるのだ。こんな問題俺だって出題できると言っても、背景のコンテクストが違えば、内包的に同義でないという話になる。

☆何言っているかわかんないと言われそうであるが、そんなTOKだからこそ、予算を組んで文科省は調査させるわけだ。グローバルスタンダードでは、これはわかっていることなのであるから。グローバルリーダーを育てるには、ハードパワーの理解だけではなく、ソフトパワーの理解が必要だということに官僚も気づいたということだ。

☆公立中高一貫校は、東大頂点ピラミッド学歴社会の中で優勝劣敗を狙っているだけではなかったのであるというのは事実か命題かその差異がTOK的にはポイントなのである。。。

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