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中学入試市場の未来【01】 2013年度中学受験市場のシフト

☆首都圏の高校入試、大学入試は継続中であるが、中学入試はほぼ閉幕。そしてすぐに中学受験業界でも私立学校の間でも、それぞれフリーズした中学受験市場を分析し、どのようにシフトチェンジするのか振り返りが始まっている。

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☆中学受験業界の幾人かと話すチャンスがあった。いずれも中学受験市場が完全な転換期にきていることは認識しているが、従来型のような受験市場を再構築し、私学を盛りあがて行こうという考え方と新しい受験市場にシフトしていこうという考え方があった。

☆どちらにしても、私立学校すべてが盛り上がることはないのは共通している。前者は、大学合格実績をもっと私学が出せばよいというのが基本だから、つまり、そこで中学受験業界はビジネスになるからなのだが、ともあれ、それでは、結局大学合格実績ランキングの上位校しか盛り上がらないということになる。

☆後者は後者で、脱偏差値やドメスティックな大学合格実績を脱しようという市場にシフトしていくというわけだから、従来型の私学と新しい価値観の私学との葛藤が予想される。そうなると、中学受験塾の覇権が変わるわけであり、インパクトはありそうだ。

☆しかし、このような話をするときに、彼らはジェフリー・ムーアのキャズム理論を持ち出して議論するという共通性があるのに驚いた。2005年に、ムーアがキャズム理論をベースに、上記のマーケット進化論を書いたわけだが、その書と前後して、広尾学園、かえつ有明、宝仙理数インターが立ち上がる。

☆このとき、これら新しい学校は、イノベーターとアーリーアダプターをターゲットに、新しい教育や学習理論を打ち立てるわけだが、そのときに、マジョリティを巻き込めなければ、6年後成功できないというアイデアがすでにあった。だから、キャズムという新しもの好きのクライアントと慎重もしくは功利主義的なクライアントの間にある溝をトルネードで乗り越えねばならない。つまり、イノベーションを持続するリーダーシップと人材が重要だという話になっていた。

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☆例に挙げた3校は、それを見事にやってのけたが、この私学市場と同じことが、今度は中学受験市場においても起ころうとしている。しかし、私学市場とは違って、ソクラテスタイプ、モモタイプ、サンデルタイプのリーダーはちょと見当たらない。ジョブスタイプやノブナガタイプを憧れているリーダーはいるから、そこでなんとかなるかもしれないが、すべての塾予備校のリーダーが、このタイプであるとは思えない。

☆こうして考えると、中学受験市場が、上場学習塾や個別の機能、DVDやe-ラーニングの機能を充実している塾にシフトしているというのはうなづける。ジョブスタイプは、これらの塾の経営者には何人かいるからである。

☆従来の中学受験市場の覇権を握っていた塾の経営陣の多くは若返っている割には、ノブナガタイプだが、歴史上の人物としてのノブナガというより、ゲームやアニメの中のノブナガ像であるために、イノベーターであることが優位にたち、マジョリティを切り捨てるというマーケットのセオリーを切り捨ててしまう傾向にある。

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☆実際には、マジョリティは、市場を安定させてきた力の階層構造が社会に根付いているから存在しているから、イノベーションとは、その力の階層に多大な影響を与え、価値観をほんの少しではあるが、変化させるインパクトがなければ、トルネードを生むことはできないのである。

☆今新しい中学市場の創出が、もしかしたらうまくいくのではないかという期待感が生まれているのは、この力の階層が、東大秋入学論争や政財官学のグローバル人材育成論争に見られるように、多少変わりつつあるからなのである。ここに俊敏に反応するところが、次の新しい中学受験市場の覇権を握ることになる。

☆ただし、個別から出発している塾が、その動きを阻もうとする。意図はしていないが、個別の勢いは周知の事実であるが、ここが補習機能だけではなく、中学入試を積極的に支援する動きになる。というのも、やはりここは富裕層が集積しているから、中学受験塾と個別というダブルスクールを可能にするからだ。しかも、中学受験塾は、一つに限る必要はまったくないから、自ずと実績がでる。一挙両得とはこのことである。

☆したがって、この一挙両得フィールドを従来型の受験塾が活用するのか新市場型の塾が活用するのかによって、次のステージへの時間が遅滞するのか加速するのかが決する。

☆そうやって考えていくと、従来型のある塾がカギを握っているという結論に達する。この塾出身者がたくさん応募してくる学校が、逆説的だが、新市場で脚光を浴びる学校となる。つまり、新市場は、このキー塾をテコに新しい塾が展開していくことになる。キー塾のソフトパワーをテクノロジーで変質させるかどうかということ。

☆逆に言えば、従来型の塾で、このキー塾にシェアを奪われていくのは、経営陣がコストパフォーマンスばかり考えて、ソフトパワーについて知識がないからである。彼らは思考力の重要性を語ることはできるが、思考力をいかに身に着けるかは語れない。そして、キー塾のソフトパワーをテクノロジーで変質できるのは、やはりソフトパワーに魅力を感じることができるところだけだ。

☆すると、自ずと答えはみえてくる。不二家再生は、不二家のソフトパワーをテクノロジーによって変質したからであり、そのテクノロジーを活用したのは、不二家ではない。ここから学ぶべき点は、ソフトパワーが大切であるのだが、ソフトパワーがテクノロジーによって脱構築されるというイノベーションなのだということ。これが、力の階層をしたたかに活用するサバイバルスキルということなのかもしれない。

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