変わるか大学【04】 慶応大 ダントツ歩留り率
☆同研究所によると、この結果の理由は、
①慶応や早稲田はどうしても入りたい受験生が多いが、関西の有名私大は知名度も横並びで、全国的なブランド力に欠ける。
②関西では国立大学志向が強い。
☆ではブランド力とは何か?なぜ国立大学志向なのか?
☆まず、ブランド力はテクニカルには、広報戦略によって形作られる。多いところでは、広報費は2億以上というところもあるようだが、だいたい5000万前後が多いだろう。
☆これでは、テクニカルに、ブランド力を形成するのは難しい。まず、国立大学はすでに文科省が力を入れているとか、学歴ピラミッドの中で一定のポジショニングを得ているとか、新聞やテレビなどのメディアで、報道されている。たとえ、それが間違っていても、それを覆すだけの広報費を私大は支出できない。
☆このように、一般にブランド力とは、多くの人になんとなく良いイメージが植え付けられているということだから、なかなか大変である。大学の大衆化と言われて久しいが、大衆化とはそういうことだろう。
☆だから、最も力を入れるのは、オープンキャンパスとネットの世界でコストはかけずに、アセットを共感してもらうという広報戦略に出るしかなくなる。
☆では、大学におけるアセットとは何か?
☆教授陣の研究力がまず第一!えっ教育力では?いやそれは大学院生や大学生がチューターになればよいから、そういうカウンセリングやアドバイザーが機能するコミュニケーションセンターが機能していればよい。それこそが真の教育力。この教育力を巧んでいるのは、慶応大ぐらい。巧んでいるのか自然となっているのかは実はよくわからないが、SFCの存在は完全にそうだ。三田の学生は、自分たちはSFCとは違うという意識を高めているから、教育力の相乗効果が生まれている。
☆そして、この教育力がキャリアサポートに結びついていることなのである。就職課や大学の教職員が、一生懸命キャリアサポートしても実はブランド力は広がらない。ソーシャルメディアなどで、どれだけ学生同士、同窓同士が、コミュニケーションできるかということ。
☆端末やネットの環境は誰でも使えるではないか?そう使えるのだけれど、そこで交換する情報コンテンツの質が問題である。この情報交換は、互いの気持ちの交換以上に、起業家精神を刺激する情報が飛びかうことが重要である。この精神がベースになって、大企業にアプローチできるかどうかがブランド力を広める大きな要因である。もっともSFCはいきなり起業する学生も他に比べ多いだろうが。
☆このソーシャルメディアでやり取りされている情報コンテンツの質を解明できていない大学が横並びになっているということだろう。なぜそんなことがわかるのか?PBL、アクティブラーニングを中高でやるとき、チューターとして大学生が参加するが、そのときにファシリテーションができる大学生とそうでない大学生がいる。
☆後者の大学生は、このようなラーニングプログラムに参加できない。家庭教師とかワンウェイ型の講義が中心のアルバイトが可能でも、PBLやアクティブラーニングでは難しい。だから、東大生がファシリテーションが得意かというと、必ずしもそうではないのだ。
☆リサーチしたことがないから、経験値でしか言えないが、チューターは、慶応大と早稲田大とICUのコンビネーションがベースで、そこに東大をはじめとする他大学生がコラボすると、なかなかいい感じなのである。
☆就活のときに、家庭教師とも塾講師ともまったく質感が違うPBLやアクティブラーニングのチューターの経験値は、役に立っているとも聞き及ぶ。
☆つまり、キャリアサポートとか教育力の良質さのヒントがこういうところに横たわっている。しかし、そもそもPBLやアクティブラーニングを理解する大学の職員はまだまだ少ないだろう。偏差値という評価の非難をしているだけで、新しい評価を作ろうとしていないのがその証拠である。評価は、エンパワーメント評価やアクティブ評価でなければならない。もっとも偏差値メーカーの河合塾がアクティブラーニングを大学に広めようとしているのは、なんともパラドキシカルでおもしろいのだが。
☆そのためには、ポートフォリオだけではなくプロセスフォリオやフロー状態の質を測定できなければということ。MIT、ハーバード、スタンフォードなどですでに議論されてきたこと。邦訳本でも読むことができるので、眼張って欲しい。
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