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2013中学受験【139】 佼成学園女子 違いがわかる学校選び

☆昨日9日、東京の公立中高一貫校の合格発表が行われた。今や中学受験人口の25%をシェアする公立中高一貫校受検生。私立中高一貫校の募集に大きな影響を与える。

☆どういう影響なのかというと、その日9日に招集日を設定している私立学校も少なくなかったと思うが、公立中高一貫校の結果を見てから、手続きを完了するという受験生がかなりいたということ、これである。

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☆この公立中高一貫校の適性検査型試験といち早くつばぜり合いを行ったのが佼成学園女子。PISA型入試を実施した。今では、多くの私立中高一貫校も、佼成学園女子を参考に、適性検査型入試を実施するようになった。

☆しかし、佼成学園女子のPISA型入試は、いわゆる適性検査型入試と似て非なるものである。OECD/PISAとそれを真似していると文科省が言っている全国学力テストや適性検査を比べると、まったく違うものである。

☆佼成学園女子のPISA型入試は、本家本元のOECD/PISAのコンセプトに共鳴して作られているから、こちらは同じなのである。

☆この違いがわかる学校選びを受験生や保護者ができるだろうか?おせっかいだと言われるかもしれないが、心配になる。経済的に、どうしても公立にいかねばならない。でも、私立中高一貫校の水準の教育を受けさせたいと思っている家庭にとって、佼成学園女子のPISA型入試で、準備をするというのはありだろう。

☆東京や神奈川の私学の受験生が、埼玉や千葉の学校を準備のために受験するのと同じである。

☆しかし、地理的にも東京都内で、佼成学園女子と公立中高一貫校を併願して、両方を合格して学校選びに迷った場合、どう判断したらよいのだろうか。

☆ヒントとしては、OECD/PISAや佼成学園女子のPISA型入試は、世界標準であるが、全国学力テストや適性検査は学習指導要領標準であるという違いを知っておくとよいのではないか。

☆世界標準であるということは、課題の素材の不公平さが学力を測定するバイアスにならないように、できるだけ既存の知識に依存しない素材を使ったり、あるいは逆に常識的な知識として共有できる素材を使ったりして、考える過程のみの学力の測定をするようにできているということだ。

☆一方、学習指導要領ベースということは、一見考える問題や作文でも、学習指導要領内の解答に行きつくようにできているし、作文も国の道徳感にあったものが予定調和的に暗黙裡に設定されているということなのである。

☆公立中高一貫校の受検生の中には、家庭の影響で、クリティカルシンキングの素養ができあがっている生徒がいるから、そういう生徒にとっては、そのようなイデオロギーは、クールに適度に距離を置きながら、自分をみつめ、仲間と楽しんで、公立中高一貫校の学園生活を送れるであろう。

☆しかし、そうではない賢く良い子である場合は、心配である。この国の政治経済は、どんなに過去に戻ろうとしても、歴史がそれを許しはしない。時代は地球市民の方向で動いている。文化が違い価値観が違う地球市民が共に生きる時代に。既存の知識は、その差異を突破するどころか、違いに固執し、地球市民の協力活動を阻害する壁になってしまう。

☆OECD/PISAは「知識基盤社会」の時代の到来に対応できる10歳から24歳の18億人の子どもや若者の学力をリサーチしているのだが、協力を阻害する知識を学びましょうというのではない。そこで、ここで問題なのは「知識基盤社会」とは何かなのである。

☆文科省も「知識基盤社会」という言葉を使う。OECD/PISAの日本側の研究は、文科省の出先機関である国立教育政策研究所が行っているが、一度そこの所員にというか教授なのだろうが、その意味を問うてみた。すると、そんな定義問題はどうでもよい。時代はもう「知識基盤社会」がやってきているということなのだと、能書きはいらないという抑圧的アティチュードをとられた。

☆「知識基盤社会」とは“knowledge-based society”の日本語訳であるが、ここで言うknowledgeとは、日本語の意味での「知識」ではない。今話題になっているIB(国際バカロレア)のディプロマのプログラムの一つTOK=Theory Of Knowledgeも、「知識の理論」と訳してはいけないことになっている。

☆かくして、佼成学園女子のPISA型入試は、“knowledge-based society”を生徒の活躍の場として設定しているのに対し、公立中高一貫校は「知識基盤社会」を生徒の活躍の場として設定しているという違いがある。ファンダメンタルな教育とテクニカルな教育の違い。その差異を認識したうえで、学校選びが行われんことを!

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