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2013中学受験【145】 マック・レスリング・TDR・中学入試

☆東洋経済オンライン 2月12日(火)12時20分配信に、こんな気になる記事があった。「マクドナルド・原田社長、神話の終焉か」。

 「結論を言う。2004年から11年まで(既存店売上高は)8期連続プラスの業績だった。12年12月期は9期ぶりに減収減益で終わった。今年は増益を目指すということだ」――日本マクドナルドホールディングスの原田泳幸会長兼社長は、2月8日に開かれた12年12月期本決算説明会の場でそう宣言した。

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☆マクドナルドは、子どもビジネスをベースに子どもたちが成長して若者になってからマック文化を浸透させていく戦略をとっているから、中学受験や中学入試を考えるうえで、ある意味鏡になっていた。中学受験市場はマック文化を受け入れていたし、中学入試という私学市場は、子どもの心と体と知のトータルな観点から、クリティカルシンキングを発動してきた。

☆そして私学側でいち早くマック文化を導入したところは、いわゆる勝ち組となった。しかし、今回の原田社長の発言は、そのマック文化のベースを軌道修正しなければならなくなったということだから、折しも今年の中学受験市場の真冬の時代にもいえることで、やはり鏡としての機能は損なわれていない。

☆そんなことを思っていたら、2020年オリンピックから、レスリングが外される候補になったというニュースを耳にした。毎日新聞(2013年2月12日)によると、

レスリングを20年夏季五輪の中核競技から外すという、予想外の判断を下した12日の国際オリンピック委員会(IOC)理事会。その決定は、IOCが古代からの伝統より、現代の商業化路線を重視していることを示した。また、IOC委員が多数を占める欧州の意見が強く反映される実態が、改めて浮かび上がったともいえる。

☆商業化路線の理由は、

レスリングはルールが難解で、審判の判定も一目では分かりづらい。テレビの放映権料が物を言う今の五輪では、視聴者には勝敗が明確でないとの見方はつきまとってきた。ビデオ判定の導入などで、公平性も担保しようとしてきたが、日本レスリング協会幹部でさえ「審判の判定次第で勝敗が覆ってしまう」という側面もあった。

☆ということのようだ。マックはこの路線ではないのか?ということは、レスリングのこの方向性は危ないのでは?というわけでは決してない。それは東京ディズニーリゾート(TDR)の営業利益増の構造とマックの構造を比べれば明らかである。

☆やはり、子どもビジネスをベースとして、彼らの成長に乗せてディズニー文化を浸透させていこうとしているという点では違いがない。グッズ販売やICT活用による戦略も同様だ。また、マックは社会学の研究対象になったり、イギリス経済誌「エコノミスト」が、各国の経済力を測る経済指標の一つとしてマック指数をプロデュースしたりしているぐらいだ。ディスニーも映画や本という媒体は多種多様だ。

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☆オリンピックも同じような構造を持っている。しかし、マックとは違うが、TDRとは同じという点がある。それはコンテンツの意味である。

☆コンテンツをめぐる周縁媒体やそのインフラがゲーム感覚・遊び感覚でおもしろいというのは、みな共通している。しかし、マックのコンテンツ、つまり商品そのものは、多様性はないし、世代を超えて食することができるものではなかなかない。ところが、オリンピックやTDRは、コンテンツそのものがおもしろいし、世代を超えて楽しむことができる。

☆オリンピックの競技やTDRのアトラクションやイベントは、世代を超えて楽しめるものが優先される。少子高齢化は、広く先進諸国の課題であるが、高齢者が楽しめる商品は、わかりやすいものでなければならない。健康によいものでなければならない。癒されるものでなければならない。

☆中学受験市場は、そういう意味では、世代を超えて広がらない。コンテンツも難しくてわかりにくい。鉢巻姿の受験イメージは、とても癒されるものではない。絵画や音楽、スポーツを投げ捨てて受験勉強するイメージは、心にも身体にもよさそうにない。

☆だから、中学受験は高校受験、大学受験、就活というトータルな世代に継承されるシステムに包括される傾向になってきている。

☆しかし、私学市場はどうだろう。今まで、中学受験市場と私立中高一貫校の私学市場とは差異を見いだそうとされてこなかった。しかし、ここにきて、中学受験市場がターゲットにしている私立中高一貫校は私学の50%以下である。

☆残りの私立中高一貫校は、中学受験市場に参入できない。だからこそ、私学市場という根源的存在がみえてきた。私学は同窓性という世代を超えた絆をつくることができる。知識を憶える小難しさより、対話をしながら思考を豊かにする授業システムをつくることができる。対話こそシンプルで生徒が最も楽しめるゲームなのである。そして、精神は時に癒され、時にタフになる。

☆好奇心に満ち、探求することを楽しみ、大いに語らう仲間に出遭い、そして進路を決めていくことができる。その進路の先では同窓が師となり、振り向けば後輩が弟子となる。良質のネットワークを広げることができる。このことを≪私学の系譜≫と呼んでいるのだが。

☆そして、何より学びこそ私学市場のコンテンツそのものである。受験市場のコンテンツは入試問題であり、そこに多様性はない。マックの商品に似ている。今後は私学市場において、競技やアトラクションのようにどの学びがおもしろいのか、コンテンツ競争になるような気もするが、またまた何を世迷いごとをと一笑に付されるかもしれない。

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