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「キャリアガイダンス No.45」のススメ

☆「キャリアガイダンス№45 2013.2」は読みごたえあり。

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☆というのも、進路指導の難しさは、大学教育の在り方の問題と日本社会の経済社会の問題そのものであり、この問題解決に、格闘している教師の生き様が刻まれているからである。

☆がしかし、データでも紹介されているが、この社会の激動すべてを教師一人がカバーできることなどできるはずはなく、途方に暮れてしまうという中高現場のジレンマも伝わってくる。

☆このジレンマを解決するときにどうするかというと、それはセオリー通り考えると、次元をアップするしかない。進路指導の難しさを、教師が感じる問題にするのではなく、進路という一見生徒にとって身近な問題であるが、バタフライ効果というかカオス理論というか、それはともかく、その一見自分だけの問題のように見えるその「いま・ここ」に、社会の問題、大学の問題、世界の問題があるという、メタ認知を教師と生徒が共有するプログラムを開発することだ。

☆その例として、本ブログでも折に触れ紹介してきたかえつ有明の「サイエンス科」プログラムが4ページにわたって掲載されているのに、自分の見方もそんなに間違っていなかったかと。記事についてはすでに、「キャリアガイダンス」サイトでPDFをダウンロードできるので、そちらをご覧いただきたい。

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☆しかし、今回「キャリアガイダンス」のススメを書いているのは、 かえつ有明が取り上げられているからだけではない。本誌は、進路指導の困難性のリサーチデータを公開しているわけだが、そこに日本社会がグローバル人材育成プログラムをもっていないことが逆照射されているところに、熟読をススメたい理由がある。

☆当然ながら、かえつ有明をはじめ、授業の中でキャリア教育を行っている先生方の事例は、結果的に、このグローバル人材育成プログラムの開発になっているわけである。

☆そういう意味で、大学だけがアクティブラーニングをやっているわけではないし、そのようなプログラムを大学初年次教育の中に納めてしまおうというプロクラステスのベッドはますます、進路指導を困難に貶める。そんな問題が本誌に映し出されているのである。

☆と読み続けていたら、「パギャルの消費」という著書が紹介されていた。

Cg3 ☆昨夜「情熱大陸」で、「きゃりーぱみゅぱみゅ」が、ロンドン、パリ、ベルギーなどで日本語でグローバル公演をしているのを見たが、なるほどこれかあ!と納得。ギャルマインドを持ちつつも真正のギャルではないと思っている女子のことを「パギャル」と呼んでいるようだが、このマインドこそクールジャパンのマインドではないかと驚いた。

☆つまり19世紀末にアールヌーボなどに影響を与えたジャポニズム。なんてったって、ティファニーやヴィトンは、まんま日本のマインドを導入したのだが、きゃりーぱみゅぱみゅや、それ以前からのアニメの受け入れ方は、それに相当する。

☆かえつ有明が、サイエンス科プログラムや進路指導プログラムを実践するときに、その背景でAKB48はなぜ成功したのか、秋元康のプロデュース力を分析していた。今年中学入試で、かえつ有明はブレイクしたが、その根本の理由はここにあったのかもしれない。

☆普通だったら、不真面目だ!とんでもない!となるが、そこはクリティカルシンキング。メタ認知で、AKB48というコンテンツではなく、そのプロデュースのプロセスを議論したわけだ。

☆教科横断という枠をさらに超えて、世界を読み切る目そのものがあるかどうかが、進路指導やキャリア教育を飛躍させるのだろう。

☆宮台真司が「地頭」を語り、東浩紀が「中学受験体験」を語り、きゃりーぱみゅぱみゅがNバッグを背負って「カワイイ」と発する。社会学も文学も文化も突き抜けるメタ認知。「キャリアガイダンス№45」は保存版である。

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