変わるか大学【11】 和栗式「体験学習」 女子大を変える
☆自己主張も声も何もでない女子大生が、議論、企画コラボレーション、プレゼン、振り返り、相互アドバイス、スーパーバイザーのスーパーコメントのループによって大きく成長していくプログラム。プログラムのシラバスを共に創り、それに基づいて評価していくというさすが和栗准教授はスタンフォードでディグリーをとっているだけのことはある。
☆アクティブラーンニグとかPBLとかいうタイプのプログラムで、知とモティベーション、チームワークなどの21世紀型サバイバルスキルのパワーアップのシナジーを生み出し、エンパワーするプログラム。
☆2000年にこのタイプのプログラムに携わっているが、ずいぶん広まったなあと。立ち上がり当初はある国立の女子大の研究者に、大学の教員でもないあなたが、なぜこんなプログラムをやるのか教育改革ビジネスでもやるのかと非難された。このプログラムで世界を変えるというのは、すでにスタンフォ―ドやUCLAのグループが言っているから、そのベクトルはそうなんでしょうが、ビジネスにはならんでしょうねと回答しておいたのを思いだし、時代は大きく変わったなあと。
☆確実にPBLは広まっている。たしかにアベノミクスの若者と女性の雇用支援というのがあるから、和栗准教授のプログラムを取材したのだろうが、そのセンスはアベノミクスというより時代のクレイムに対応していると言えよう。
☆それにしてもスタンフォード大学の教育インパクトはすごいなあ。昨年8月9日に書いたブログ「Google Japan 製品開発本部長 徳生健太郎 グローバル人材のロールモデル」は、今でも毎日アクセスされている。徳生氏もスタンフォードで学んだ経験を持っている。
☆スタンフォードのミームでもあるFetterman博士に代表されるように、人材育成のポイントはエンパワーメントである。振り返りをするときに、問題点をあげつらうのではなく、どこを広げ深めるのか、結果的にそれが問題を解決し、状況をポジティブな方向にシフトするというプログラム。
☆この点の感覚がないのが従来の日本の教育。どこを広げ深めるかを共に考えようとすると、褒めるのではなく、問題を指摘してほしいとなる。問題を指摘し合うことはオープンであるというのはわかるが、いまここで変化しなくてはならないときに、問題を共有するだけでは、実際はそこでルサンチマンが必ず生まれうるから、シフトの時間が遅くなってしまうという事態になりかねない。それより進みながら、問題が解決していく手ごたえを感じ合ったほうが「雰囲気」もよくなるし、ターニングポイントにたどりつく速度が加速する。プログラムの優先順位といってしまえばそれまでであるが。
☆「雰囲気」というと、そんなものは主観だし情緒的だといわれるが、物事は知性と感性と倫理性のシナジーで動くから、極めて重要なのである。OECD/PISAの報告でも「学級雰囲気」の調査結果が公開されたことがある。韓国と日本は「学級雰囲気」は実に悪い。今思えば、それこそ問題になっている「体罰」も、そのマイナス雰囲気がシグナルを発していたのではないだろうか。
☆「雰囲気」をよくする方法を広め深めていった方が、体罰かどうか判断ができないから委縮して指導ができませんなどという、またまたネガティブファンタジーを発生することはなかったかもしれない。
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