« 第2回キリスト教学校合同フェア | トップページ | 富士見丘 グローバル教育の成果着々 »

JOBAから東大へ

☆今日22日は、東大の後期日程入試と帰国生入試の合格発表日。JOBAから東大を受験していた生徒が合格したと連絡をもらった。

P3214834

☆連絡をしてくれたのは、JOBAの大学入試部門の責任者の鈴木裕之氏。氏は世界を飛び歩き、スカイプで世界の帰国生と対話しながら、一方で私立学校と学びのサポートのエクステンションチームを創出している。

☆完全にリアルスペースとサイバースペースの両方で活動するネットワーク型人間。氏は私のようななんの権威も資格もないアンタイトルな人間ともちゃんとリンクしていてくれる。

☆氏の活動は、対話型の学びの空間をリアルとサイバーの両方につくって、塾も学校も横断して市場を創出しているので、たいへん興味深い。まさに21世紀型の学びデザインといわけだ。

☆だから、その空間で学ぶ帰国生は、いわゆる受験生という感じではない。とにもかくにもよく考えるし、よく対話し、議論する。そしてもちろん800字から1200字の小論文を編集する。帰国生は小論文だけではなく、面接もあるから、対話は極めて重要でもある。

☆帰国生入試の問題は、自分の価値観や感じ方を論理的に組み立てるものが基本だし、その論理は平面的ではなく立体的に組み立てるために、自らの海外での体験を統合する力が必要。

☆これがなかなかやっかい。ただ体験を語ればよいのではなく、価値観や考え方がその体験に貫かれていなければならないからである。コンセプトと具体例がただ並んでいるだけではだめで、そこに一貫性があるように論理を作らねばならない。

☆一般受験の場合だと、コンセプトも体験も必要ない。知識の活用が論理的に展開できればそれでよいのである。

☆鈴木氏は、この違いを、帰国生も一般受験生もサポートしているがゆえによく理解している。しかし、基本は対話型。生徒にどんな問いを投げかけ、話し合わせるか、その問いの質にこだわる。問いの質が、対話を促進し拡張するというのだ。

☆受験勉強という枠があるから、アクティブラーニングのような探究学習までは行わないが、授業の前に新書や英文の資料を読んでくる課題を設定し、授業中には対話、そして、最後に小論文をまとめる。さらに、その小論文を互いに批判しあい、再編集するという学びのプロセスは、最近日本でも話題になっている「反転授業」や「ピアインストラクション講義」のスタイルである。

☆鈴木氏がどうしてこういう授業を、東大の教育学部や文科省が話題にする久しい前から行っているのか?それはスカイプでIBデイプロマに取り組んでいる世界に散らばっている帰国生のサポートをしているからだ。

☆昨日、21会校(21世紀型教育を創る会)が東大福武ホールの会議室に集合して、「21会校型思考力入試」、「21会校型授業」、「21会校型進路」の3つのカテゴリーデザインについて話し合ったが、鈴木氏も参加し、惜しげもなく自分のリソースを注いでいた。

☆21会終了後、恒例の酒を交わしながら、さらにディープに対話するソクラテス会議があったのだが、鈴木氏は、いつものように途中で失礼と席を外した。海外からの質問の電話に対応したり、スカイプを広げて、授業を展開したりするためだ。

☆その対話で、氏は決して解答を教える問答をしない。ひたすら、問いを投げつづけ、最後に生徒にステージアップできたかどうかだけ確認している。

☆たとえば、あるときこんな問いを聴いたことがある。「君の言っているグローバリゼーションを、ほかの人が言っているあるいはほかの時代のグローバリゼーションと比較できるかな。できるならしてみて」と。決して「君のグローバリゼーションの定義をいってごらん」などという問いかけはしていなかった。それでは知識を問いかけるのと同じだからだろう。定義は、多角的に考えてからのちに、ある程度みえてくるものだからということだろう。だから、その過程を促進したり拡張する問いかけをしていたのだ。

☆鈴木氏にその問いかけの極意はどこから学んだのか聞いたことがある。氏はIBのディプロマの問いは、だいたいそんな感じで、日本の一般入試の問題といつも比較していると、問いのレベルの違いが鮮明に了解できるようになるんですよと。今年の東大に合格した帰国生が取り組んだ小論文問題は、こうだった。

今日の社会状況は、しばしば「グローバリゼーション」の進展という観点から議論される。この「グローバリゼーション」に関して、以下の二つの問いに答えなさい。

1) 種子島へのポルトガル船の漂着にもつながった大航海時代も、あるいはイギリス産業革命が起点となって市場経済の波が世界各地に及び、アヘン戦争や黒船来航(幕末開港)をもたらした時代も、ある意味では「グローバリゼーション」が進展した時代だと考えられる。今日の「グローバリゼーション」と、それらの時代の「グローバリゼーション」との間には、どのような共通点や相違点があるのであろうか。考えるところを述べなさい。ただし、今日と対比する時代は上記二つの時代のうちどちらかひとつでも良い。
2) 今日の「グローバリゼーション」は、あなたの生まれた国(あるいは暮らした国)と日本ではその意味や性質が同じなのであろうか、それとも異なるのであろうか。考えるところを述べなさい。

☆こんな問題に取り組む受験勉強だったら、すてきではないだろうか。秋入学やグローバル人材育成コース、日本語IBなど話題になっている。もしかしたら、一般入試も同じようなレベルにシフトするときがやってくるかもしれない。

|

« 第2回キリスト教学校合同フェア | トップページ | 富士見丘 グローバル教育の成果着々 »

21世紀型教育」カテゴリの記事