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私立中高一貫校とリベラルアーツカレッジ

☆まずは、東洋経済ONLINE(2013年03月04日)の『ハーバード以外の、知られざる「一流大学」リベラルアーツカレッジという選択肢』(藤井 雅徳著:ベネッセ・高校事業部グローバル事業推進ユニット長)を読んでいただきたい。

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☆21世紀前夜、グローバリゼーションという言葉が広まり始め、そのときにハーバード大学や世界大学ランキングなどの記事がアテンションをあげていたが、今一歩盛り上がらないまま今日を迎えている。

☆ここ最近では、グローバルリーダー育成という話も盛り上がっているし、企業でも関心が高まっている。しかし、庶民の生活では、いまだに東大ピラミッド学歴社会。

☆そんな内向き社会の中で、あきらめずに、この記事は、基礎からわかる内容がきちんと書かれているし、米国では奨学金制度以外に「Need-blind」というシステムがあるということが紹介されている。庶民にとって、こういう制度もあるのかと参考になる。

☆このシステムは、「生徒の家庭の所得に連動して授業料が決まる制度のことで、アメリカ難関10大学の中では、ハーバード、イェール、プリンストン 、コーネル、ダートマス、MITの6大学が導入している」という。ハーバードなどは、学費と寮生活を合算すると、年間約470万円になる。しかし、世帯年収585万円(約6万5000ドル)未満の家庭は無料!世帯年収1350万円(約15万ドル)未満の家庭は、10%以下の学費へ減額!というシステムのようだ。

☆もっとも、それでもやっていける大格差社会ベースの寄付のシステムがあるから可能なのだろう。

☆この記事を読んでつくづく思うのは、国の経済システムが違うことによる教育システムの違いである。この違いを大切にしつつ世界ブランドをつくることを日本はしなければ、おそらく米国TPP戦略に飲み込まれてしまうだろう。飲み込まれても、生活ができればそれでよいとするのか、対等にコミュニケーションをしながら生活をしていくのかは、もはや国家の選択だけに任せておけないのがグローバリゼーションの本質。

☆しかし、日本に欧米と対等にコミュニケーションできる領域などあるのだろうか?それはモノヅクリという技術と東京に首都圏に集積している私立中高一貫校。

☆もちろん、従来型のままだけではTPP戦略に対応できないのだが、ソフトパワーのブランド戦略を生み出せば、それは可能。

☆モノづくりには関してはファブリケーションという発想で、グーグル企業のようなグローバル企業を、丸ごと小さな空間の職人の世界に埋め込むことができる。

☆私立中高一貫校は、米国のリベラルアーツカレッジのプレリベラルアーツカレッジとしてブランディングできる。欧米では、意外にも創造的なことは大学からという発想がある。だから、中等教育学校のレベルは、日本のほうが高かったリする。もちろん、欧米でもエリートはIBやAPのような高次の中等教育を行っているが、それは庶民の話ではない。

☆その点、私立中高一貫校は、日本の経済システムを考慮すると、欧米に比べれば庶民の見方。同誌の記事にこういう箇所がある。

リベラルアーツカレッジの教授は、一般的に研究活動よりも学部生への教育を重視しているため、面倒見もよく、授業は少人数のディスカッション形式で進めることが多い。さらには、授業への質問や論文の添削などのフィードバックをチューター(大学院生)ではなく、教授がダイレクトに面倒を見てくれる。さらには、寮生活などでも、生徒の生活面や精神的なケアが充実している。

☆「リベラルアーツカレッジの教授」を「私立中高一貫校の教師」に置き換えたりすると、そのまま使えるような箇所である。こんなデータも載っている。

■1学年あたりの在籍数(概算)…リベラルアーツカレッジ

Williams(ウィリアムズ):510名
Amherst(アムハースト):450名 
Swarthmore(スワースモア):385名
Middlebury(ミドルベリー):630名
Pomona(ポモナ):400名

■1学年あたりの在籍数(概算)…日本の大学

東京大学:3100名
京都大学:2900名
早稲田大学:11000名
慶応大学:6600名

☆私立中高一貫校のサイズは、リベラルアーツカレッジ2学年分というところも多いだろう。要するにスモールサイズということなのだが、プレリベラルアーツカレッジとしてのリーダーシップを、世界に発信できる可能性が理念と実際の両面でありそうだ。21会(21世紀型教育を創る会)校の挑戦もそこにあるだろう。大いに期待したい。

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