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「東大新入生6割が就活不安」の意味 ②

☆東洋経済オンライン2013/4/26 08:00(小山 龍介著)に「非エリートでもハイパーノマドになれる」という記事がった。

☆小山氏が引用しているように、すでに2008年以前から、フランスの知の巨人ジャック・アタリが予言していた話

Attali

☆もっとも、そのルーツは現代思想だからそう新しいものではない。しかし、20世紀末のIT革命以降、シリコンバレーのような拠点では、仕事の仕方や組織のあり方、知識データベースのあり方がガラリと変わり、それが金融工学や遺伝子工学にも影響し、アベノミクスを超える勢いのバイオ関連株のピーキーな上昇に、ハイパーノマドが日本でもリアリティを増してきたということだろう。

☆そしてジョブスに代表されるように、「非エリートでもハイパーノマドになれる」のである。東大生の長年にわたる知識集積の行為が無化されてしまうという時代である。それは就活不安以上に、レゾンデートルが揺るがされる不安。それでいて唯ぼんやりとした不安を抱いているしかないというさらなる不安。

☆そんなことを予想して、東大はここ数年、改革をしてきた。「知識の再構造化」「自律協働分散系」という知のシステム構築。しかし、ハイパーノマドの流れはグローバリゼーションの流れでもある。

☆それゆえ、秋入学だあ!グローバル人材育成コースだあ!反転授業だあ!アクティブラーニングだあ!と喧しいのである。

☆しかし、結局のところ東洋経済という雑誌の性格上、論調において、器そのものは変わっていない。枠組みそのものは変わっていない。ファンダメンタルそのものは変わっていない。

☆小山氏にしても、こう語っている。

 ノマドと一言で言っても、さまざまだ。アタリは、ノマドには3種類あると指摘する。まずは、世界を股にかけて活躍する、クリエイティブな能力を持ったハイパーノマド。彼らはその能力を買われて、国境を越えて移動し、成功を収める。

 対極にあるのが下層ノマド。こちらは、国内では仕事が見つからず、生きるために移動を強いられる層。今でもすでに、多くの海外地域において、日本から社員を派遣、駐在させるのではなく、日本人の現地採用が行われている。

 そうした現地採用の社員に対しては、現地の生活水準に合わせた給与しか支払われない。・・・・・・その中間とも言えるバーチャルノマドは、ハイパーノマドにあこがれながら、ノマドになれない定住民。インターネット上だけでも、ノマドな雰囲気を感じていたいという層だ。

 この層もまた、下層ノマドと同様、海外の労働者との競争に巻き込まれる。彼らは下層ノマドになることを恐れながら、バーチャルなノマドの世界に浸っているのである。事実、先に触れたファーストリテイリングの世界同一賃金など、正社員という立場を手に入れて安心していたら、一夜にして海外市場に投げ出されてしまう。まさに、下層ノマドの予備軍なのだ。

☆遊牧民型か農耕民型か、仕事のスタイルは変わっても、優勝劣敗、勝ち組負け組経済システムに関しては変わらないということ。つまり損得勘定市場ということだから、東大生は何も不安に思う必要はない。また勝ち抜けばいいだけだ。せっかく今までやってきたのになどという不満は、勝手にしやがれなのである。

☆がしかし、本当はそんなことではない。小山氏はこうも語っている。

私がノマドを肯定的にとらえるのは、ノマドが持つ舞台の大きさである。会社や、さらにその中の一部署という狭い舞台の中で振る舞っている人は、しょせんその範囲でしか居場所をつくることができなくなる。社内では偉そうな顔をしていても、一歩外に出て自分の価値も認められない世界に入ると、途端にその勢いを失ってしまう。

 しかしノマドは、そうしたアウェーの環境にあってなお、自分らしい表現をする人たちなのである。彼らの目の前には、会社という境界、国境という境界を超えた広大な舞台が広がっているのだ。

 下層ノマドとハイパーノマドを分ける最も大きな違いは、この舞台設定であり、その舞台設定を広げることで古い自分を脱ぎ捨て、新しい自分に生まれ変わることが重要なのだ。新著『10年後もワクワクできる20代の未来改造計画』では、そうした居場所づくりのできるハイパーノマドになるための方法を提示した。中でも重要なのが、舞台を広げていくという方法なのである。

 ノマドとして居場所をつくりだせる確信があれば、たとえ会社が潰れても、まったく心配がない。会社という小さな舞台にとどまるのではなく、ノマドとなって、大きな舞台を感じながら活躍してほしい。アンチノマド派の言うことを真に受けて会社に閉じこもることより、よっぽどワクワクする未来が待っているはずだ。

☆つまり<居場所づくり>のスキルが重要になってくると。<関係総体構築>のスキルということだろう。これは、東大生に限らず、単一民族と錯覚するくらい多様性を受け入れてこなかったわたしたち日本人はまったくトレーニングを受けてこなかったスキルである。

☆今回の東大生の不安アンケート調査は、東大生でさえもというフレーズが付加されている。つまり、わたしたち日本人全体が今ここで抱いている唯ぼんやりとした不安を如実に反映しているのである。

☆ここから抜け出すには、損得勘定市場ではない<モモ的市場>という新しい市場を共に創出することである。そのチャンスはTPPの参加の仕方によっては可能になる。もっとも当面は、物理的力とおかねの力と闘いながらということにはなるのだが。

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