近藤会長 「私立と公立の教育の質の違い」語る<2>
☆ここには、私立学校らしいリーダーシップが育つ環境がある。リーダーとはけん引していくだけが役割ではない。悩んでいる仲間が、自分の力で解決するきっかけをつかむまで待つというフォロワーシップやケアの気持ちを大切にするのもリーダーシップである。公立学校では、まだピラミッド型の頂点に立つリーダー像があるものだ。近藤先生はそこまでは語っていなかったが、ちょっと考えるとそう了解できる。
「このようなケアの仕方は、私立学校によっていろいろあるのですが、教師の創意工夫の積み上げは、生徒にも影響を与えるものなのですね。公立中高一貫校は、まだ一巡しただけですから、実はこれからなんですね」
☆帰国子女教育も、昨今では今更ながらグローバル人材育成という流れで公立学校も力を入れているが、実はこれも私立学校が先に創意工夫して、それを公立が真似をした。
「私立学校は、誰からも要請されたわけではないのです。募集をして帰国子女に出遭ったとき、英語はできるけれど、日本の教育を受けてこなかった生徒の教育をどのように受け入れていくかに直面したわけですよ。そのとき私立学校は創意工夫をした。それぞれの私立学校が知恵を出し合った。すると、帰国子女の教育という分野が広まった。そういう私立学校の創意工夫の結果をモデルに公立学校もやろうじゃないかということになって今に到っているのです。私立学校って目の前にいる生徒に合わせて、ここから生徒を伸ばそうという創意工夫が大切なのであって、学習指導要領にないから教育できないとかそういうことではないのですね。こうして常に先端をいっているのですよ」
☆公立学校は、この私立学校の成果をもとに、今年から高校留学に力を入れていく。当然助成金がでる。しかし、これは私立学校の貢献を考慮すれば、留学生の助成金が私学にも出なくてはならない。そういうわけで、私学にも助成金がでるようになった。もちろん、黙っていてでるわけではない。日本中学校高等学校連合会の吉田先生や近藤先生の自治体や政府への提言があって実現しているのである。この提言は、私立学校の創意工夫の典型であろう。
☆ともあれ、こうなると、私立学校も公立学校も、同じように留学をやるから同じだということになりそうだが、それは違う。
「私立学校の場合は、東京私学教育研究所や日本私学教育研究所を持っています。ここで、各私学の帰国子女の教育の創意工夫した取り組みの情報を収集し、分析し、さらに次にどのようにしていったらよいか考えています。創意工夫の積み上げがこのような形で、さらに生徒のために新しく展開していくのです。質の大きな違いは明らかでしょう」
☆近藤先生は、未履修問題についても触れた。大学受験のために未履修を認めて単位が足りなくなった公立学校の話題ばかりが問題になるが、そもそも大切なのは、未履修かどうかではなく、目の前の生徒にとって必要な勉強は何かという判断であると。学習指導要領にあるからやらなければならない。ないからやらなくてもよいというのは私立学校の創意工夫の積み上げという新しい伝統つくっていく過程では認められないのである。教育システムと生徒の成長のどちらが重要なのか、未履修問題の取り上げ方は本末転倒であると。
☆かくして、創意工夫という精神は、公立学校の教育システムには相いれない精神である。この違いを認識することは、私立か公立かという選択の時に極めて重要である。
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