聖学院のクオリティ (3) 思考のバージョンアップ
☆まずは、9種類の立体図形を見せる。そして2つのグループに分類して、その理由を考えなさいと。
☆ここにも21世紀型教育の思考のバージョンアップの問いが作られている。20世紀型教師は、この問題をみて、すぐにこう感じる。たくさん出せばよいというものではない。やはり一つの図形に絞って、いろいろな角度から考えさせて、深めて行かなくては思考とは言えない。
☆もし、この段階で、そういう20世紀型問題を出題したら、生徒たちの中には、自分の最近接発達領域を無視され、やる気を失う生徒がでてくるだろう。20世紀型教師は、そういう生徒を出来ないやつと心ひそかに思い、勉強が足りないぞとネガティブファンタジーをふりまくだろう。
☆ こうして生徒は才能を摘まれてしまう。そしてこれが大学受験準備の常套手段だ。しかし、ことは最近接発達領域のことなのである。ナノレベルの思考の間隙。親も気づかない。いっしょになって、がんばってとエールをおくってしまう。それが逆効果だと知っていても、つい。
☆この9種類もの図形を出題する方法は、コンテンポラリーアートの手法の1つである。フラクタルにものをひたすら並べる手法。これがフラクタルだというのは、最後の方の新たな問いのゲートでわかる。
☆最近接発達領域を開くには、まずは「眩暈」。いつもは、図形と言えば、一つの図形を分析して、面積や体積や比を求めるものだと思っているが、今日は違うじゃないかというナノレベルの声を聴きとるところから、ヴィゴツキーの理論は生まれたのだ。
☆コンテンポラリーアーティスト草間彌生の作品は、いつもフラクタルそして眩暈である。数学は眩暈であり宇宙(無限の大さと無数の星々はフラクタルだろう)であり芸術(つねにビッグバン!)である。バッハ・ゲーデル・エッシャーの統一理論を数学はいつも夢見ている。
☆こんな夢を天才数学者は子どものころに着想を得ているものだ。だから、分類した基準を自分で示せという問いが並ぶ。
☆体積を求めるのに、基準など考える必要はないのに、だれかが考えた基準が公式になっているのに!でも自分で考えてよいのだ、そうなのか?本当によいのか?そうささやいたとき、やっと教師は眼差しを合わせる。このとき最近接発達領域はリンクする。カチャッという音が鳴る。
☆公式をあてはめてひたすら計算が合っているかどうかのトレーニングの最中には聞こえない音である。
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