市民型合同進学 説明会 相談会 6月30日福生市で
☆「ふっさ・子どもの未来づくり応援団」という市民団体がコーディネートしている。2年目の開催。市民団体だからこそ、都立と私立の学校が一堂に会する進学説明会・相談会ができる。
☆しかし、開催にあたっては、公立と私立の法制度的な難しさや政治的な関係のややこしさがあったのではないかと推察する。市民団体による高邁なボランティア精神だからこそこの難しい居面を打破できたのだと思う。
☆この市民団体のサイトをみると、21世紀型スキルや21世紀型教育に広く深い関心がある団体であることが了解できる。
☆今回の企画意図については、こうある。
福生市は、2社4路線が乗り入れる拝島駅を含めて市内に5つの駅を有し、その駅を発着するスクールバスも含めて、実に様々な、魅力ある学校に通うことができる「教育の拠点」としての顔を持っています。すなわち、少し視点を広げれば、東京西部を中心に、神奈川、埼玉をも含めた、多種多様、多数の学校の中から、子どもたちそれぞれの個性に合ったその可能性を存分に引き出してくれる学校を「選択できる地域」である、ということができます。 そして「良い選択」をするには、保護者、そして子どもたち自身の目で、耳で、心で、各学校の雰囲気を感じることが大切です。またその特徴をよく理解するためには、いくつもの学校を比較検討してみることも重要です。
その一助となることを願って、合同進学説明会・相談会を企画しました。
☆したがって、福生市を中心に描いたエリアが「教育の拠点」であることを世に問おうということがコンセプトのようだ。だから市民による「教育拠点」とは何を意味するのか?公立・私立の両方を見据えて選択する軸とは何なのか?
☆これらについて、当日足を運べば明らかになるということだろう。企画といういうのは、参加者を集める意図とコンセプトの軸は必ずしも一致しない。まずは参加者を集めて、そこで魅力や何かを啓蒙したいというコンセプトがあるのが通常である。
☆だから、参加者もそのことにうすうす気づいていて、リアルな空間で自分たちが支持できる価値を見つけたいという宝探しのときのようなあの気持ちになるものだ。
☆今回の企画で、私なりに勝手に思うことは、選択軸が新しいということだ。合同説明会やカンファレンス、セミナーは多々あり、みな同じように見えるけれど、実際には参加者に訴求したい選択軸は異なっている。次のように4つぐらいあるのではないだろうか。
☆そして、このうち、今回の選択軸は、「シチズンシップ教育」と「多様な学校」という2軸がつくる座標系ではないか。
☆21世紀型教育は、たしかにシチズンシップ教育を当然含むが、多様な学校でなければならない。多様な学校というのは、制度的多様性ではなく、文化的多様性、パラダイムの多様性である。そうなると、公立は制度的多様性はあっても、文化的には文科省に拘束されているし、パラダイムは20世紀型政治経済社会である。
☆したがって、この軸では、今回のイベントは成立しない。
☆また、ポストモダニズム型選択軸だと、「大学進学実績」という進路の商品化による教育の大量消費の要素が入り、その意味では多様性に関係のない公立学校も選択の視野に入るが、大量消費可能な一部の消費者に参加者が限られてしまう。
☆「大学進学実績」と「偏差値」という軸は、従来型受験市場であり、S塾など進学実績第一主義の塾が主催する場合はそうなる。これにY新聞という公共的精神ベースのメディアが協力するというのは何とも解せないが、明治維新以来の優勝劣敗官僚近代教育の路線(もちろん今も主流で、≪官学の系譜≫)のパラダイムの上で催されてもいる。
☆こうしてみると、やはり今回市民団体が、公立、私立問わずコラボできたのは、「シチズンシップ教育」と「多様な学校」という座標系だからできたのだろう。
☆たしかに、この選択軸だとしたら、包括的である。しかし、やはり本音は、公立、私立問わず、脱偏差値、脱大学進学実績のシチズンシップ教育を行ってほしいという意志を、参加する受験生・保護者のみならず、一堂に会する学校当局にも呼びかける会なのだろう。
☆偏差値と大学進学実績などで学校を選ぶのは、欧米先進諸国ではあり得ない。もしそんなことをしたら、欧州評議会や人権裁判所に異議申し立てが起こるだろう。市民団体や親によるデモが行われるだろう。
☆人権つまりシチズンシップそのものであるが、子どもの未来をつくるはずの教育機関のシチズンシップの意識が低いのは、グローバル人材を育成できない日本の教育の最大の弱点である。
☆「ふっさ・子どもの未来づくり応援団」という市民団体の心意気が伝わってくる。
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