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タフな大学生が育たない本当の理由

☆2013年6月15日の日本経済新聞一面に驚きの記事が掲載。「育たぬタフな若者 大学は変われるか、多様化の先は学び・就活、手取り足取り」という記事がそれ。

☆この手の話は、大人は自分のことを棚に上げてという話だから興味がないのだが、20世紀型教育をやってきたからで、21世紀型にシフトしようと書いてあるのだろうと想定し、その確認をするために読んでみた。

☆すると、20世紀型でなんとかタフな大学生を育成しなければという一橋や東大の例だったから、驚いた。

☆たとえば、

「試験に出る大事な所を教えてください」。東京大で物理学を教える清水明教授は学生からいつも同じ質問を受けてうんざりする。「与えられた課題をこなす塾の勉強方法が染み付き、自分の頭で考えられない」 それでも手厚い指導に歯止めはかからない。少子化が進むなか、面倒見が悪いとの評判が立てば学生が集まらなくなるからだ。

☆エーッ!これ読んだ人は、どう感じるのだろうか?この文脈は21世紀型教育ではないことだけは確かだ。また、

「グローバル社会をたくましく生き抜ける人材に」「世界で活躍を」。各大学の学長は入学式などでそろって「タフになれ」と呼び掛ける。だが、学生への対応は正反対にみえる。

☆正反対に見えるのは、学生が学長の話に無反応だからだろう。しかし、それはそれで正しいのではないだろうか。そんな入学式の呼びかけが間違っているから、正当にも学生は反応しないだけだろう。

☆夢に向かって生きる価値を自分の中に見いだせというのだったら、自分事だが、ここでいう「グローバル社会」は、どういう社会なのか?ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」を読めば明らかだろう。

☆そんな社会をどのようにみんなでいっしょい変えて行くのかという話なら俄然はりきるが、そんな夜と霧作戦のテルミニ駅に学生は断固行きたくないと意思表示しているだけだろう。

☆そんなところで、一人生き抜いて何の価値があるのだ。フランクルのように、そういう極限状況の中で生き抜くのではなく、死を強制されても最後まで自由の領域を守り、生きる価値をみんなで励まし合いながら見いだし続けて生きていくというなら話はわかるが、蹴落として1人そこで生き抜くことにどんな価値があるというのか。

☆そしてみんないなくなった。そんな社会にタフに生き抜くことを拒否する学生の感性の方が正しいに決まっている。

☆20世紀型教育とは、優勝劣敗、負けたものは組織の歯車、部品に過ぎないと国家が合法的に教え抜くことである。そのことを二つの世界大戦で、私たちは学んだはずだ。

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