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週刊東洋経済7・6 エリート教育とお金 必見!(5)

☆イエール大学のロバート・シラー教授のインタビューが掲載されている。また信州大学大学院の牧田幸裕准教授の「2030年自分の子が勝ち組になる最大限の投資の仕方」という学校選択をROIの視点でみるようにという論考も掲載されている。

☆どちらも現代社会の経済を読み、そこでどういう経済行動計画を立てるかということを考えているわけであるから、同じような価値観のように思われるかもしれない。しかし、それは違う。

☆そして、今回特集記事の「エリート教育とお金」は、後者のROIの切り口で編集されている。つまり、短期的にお買い得校を探せというのと短期的にお買い得校だったモデルケースを紹介するというコンセプト。

☆ローバート・シラー教授は、当面はアベノミクスを評価するわけである。これは牧田准教授にしても同じであろう。とくに次のような成果がでたのなら、評価するだろう。

国民年金と厚生年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)は2日、2012年度の市場運用益が11兆2222億円の黒字、運用利回りもプラス10.2%で、双方とも比較できる01年度以降で過去最高になったと発表した。(毎日新聞 7月2日22時38分配信)

☆しかし、ローバート・シラー教授は、増税とセットで財政出動をするべきだという自分のセオリーにアベノミクスが重なるから評価しているのである。これは難しい経済学のメガネでなく、庶民感覚で読むと、実にわかりやすい論理なのだ。

☆要するに国家が賢いヘッジファンダーになりなさいということ。賢いヘッジファンダーだから、税金という形で投資しなさいということ。どの国も賢いヘッジファンダーならバブルを回避しながらクライアントの投資額を増やしてあげられる。Win-Winになれるよということである。

☆アダム・スミスの道徳感情論的発想だし、ケインズのテクニカルだけではなくファンダメンタルを見極めた投資をねというのと共振する理屈。またJ.J.ルソーの税金は保険だよというのと似ている。つまり、啓蒙思想的路線で、≪私学の系譜≫と共感する考え方なのである。

☆それとアベノミクスがよいかどうかはまた別の話。消費税の問題や円安の問題は、市場の原理を阻害する操作性の可能性があるから、そこが明らかにならない限り、限定的に認めざるを得ないというのが≪私学の系譜≫の見方。基本霞を食って生きていくわけにはいかないのだから。

☆それに比べ、もう明らかになったと思うけれど、国家は賢くないから、それをサポートしている東大や京大もレベル低下してしまう。我が子をサバイブさせるには、そこに頼っていてはいけない。筑駒からハーバードそして世界で活躍。桜蔭からシンガポール国立大学そして世界で活躍というモデルロードマップを提示し、今は偏差値は低くても短期的にそのモデルコースを実現する学校を探しなさいというお話し。

☆これを≪官学の系譜≫というわけだ。この系譜の根っこはあの有名な「優勝劣敗主義」。勝ち組負け組主義である。≪官学の系譜≫は最後は国も捨ててしまえるというパラドクス。

☆そんな国だから、牧田准教授はこう語る。

大切なのは子どもの将来に向かって、親が仮説を持つことだ。つねにそれを検証、修正し、ロードマップのサンプルを、子にいくつも提示してあげること。将来予測を基に自身の仮説を構築し、ロードマップをいくつも想定していただきたい。それが子どもと一緒に将来を考える。重要な時間になるはずだ。

☆合理的で計算可能性と予見性を高める理想的経済人をモデルにしている。しかし、予測できない時代に、何が求められているかというと、親が仮説を立てることではない。子ども自身が仮説を立てられるようにする環境を探せるかどうかである。

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