共立女子 教師力 破壊と創造 [1]
☆毎年発行される紀要「kyoritsu 研究報告」。毎年、異なるプログラムの論考が寄稿されている。
☆だからこそ、毎年発行できるのだし、ちょっと考えると、学校というのは毎年同じ研修やプログラムが繰り返されるの常だが、共立女子には、多様で柔軟な授業やプログラムを自前でデザインできる教師が存在するということだろう。
☆今回は4つの論考が掲載されている。
1)特別講座「海から生命」と「素粒子から宇宙に迫る」
2)改良型小型ペットボトルロケット開発
3)iPadを使用した教員の業務支援 セキュリティーの確保とPOSによる生徒指導システム
4)高3進路決定者特別編成授業における「健康講座」について
☆1)は、教科越境型かつ学年越境型かつ外部ネットワークと複合的にコラボするアクティブラーニング。テーマは宇宙進化論という壮大なフレーム。実際に生物を解剖したり、リニアモーターバーの実験を通して、素粒子加速器の原理を考察したりする。海洋科学、宇宙科学、そして生命科学へと知的好奇心は尽きない。
☆2)は、すでにおなじみのペットボトルロケットだが、市販のキットは遠くに飛ばすことで楽しんで終わりがちだが、もっとコンパクトにすることにより、目の前で放物運動や流体力学などを実感できるようになる。桑子先生が改良したのである。これは特許申請をしたほうが良いだろうと思えるほど破壊と創造の産物である。
☆3)がまたすごい。よくタブレットをつかった一元管理された授業が話題になっているが、そもそもあれはタブレットを有効活用した授業ではない。これとは全く異なる使い方を考案しているのが池末先生。斬新なタブレット教育活用方法が披露されている。
☆電力も自前で生産出来る時代。学びのマネジメントも教師1人ひとりの力で、また子ども1人ひとりの力でできる時代である。医療診断のデジタル化を応用し、既存のアプリを活用することで、生徒の最近接発達領域を見つけるデータを見事につくっている。
「教育×破壊的イノベーション」クレイトン・クリステンセン著185ページから
☆リーダーシップや文化ツールまで幅広い協調ツールとして考案し、実践しているところはさすがである。
☆そして4)であるが、これがまたすごい。英語科におけるコミュニケーションとは違い、スキルではなく人間存在の重みの話なのだ。コミュニケーション喪失による現代の病をいかに回避するか、あるいは回復するのか。もちろん学びの手法はプロジェクトベースである。
☆この紀要は、共立女子の教育のプロトタイプであり、毎年リファインし続けられている。言うまでもなくプレイフルラーニングそのものであり、それは21世紀型教育である。
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