東洋経済「注目の中高一貫校」を読む[02]暁星
☆東洋経済ONLINE「注目の中高一貫校 校長が語る我が校のDNA」の「歌舞伎役者に医者に日本代表。暁星学園って?暁星学園・勝部純明校長に聞く」は実におもしろい。
☆校長も、都内屈指のお坊ちゃんカトリック校であるという評判を自負している。医者もアーティストもアスリート系も「ノブレス・オブリージュ」が土台にある。だから、
暁星で医学部を目指す生徒には2タイプいるんです。まずは医者として働く親を見て、後を継ぐことを視野に医学部を志す学生。もう一方が「そんな奴を医者にしてたまるか!」と思って医学部を目指す生徒。
後者は、「自分たちの恵まれた環境を自分のためだけに使ってはダメだ。社会のために役立てなければならない」という意識を持って医学部を志します。こういう志こそ「ノブレス・オブリージュ」の精神の表れだろうと思います。そういった生徒は医療過疎地を選んだり、地方の国立医大に進学することが多いと感じます。
☆牧歌的なノブレス・オブリージュで、それはそれでよいが、医療過疎地で働きながら、その社会システムを改革しようというのが本当のノブレス・オブリージュだが、それについては言及されていない。
☆ラ・マルセイエ―ズを卒業式で歌うのもすごいが、元々はフランス革命歌である。東洋経済の記事にはそこは深く掘り下げられていないが、自然権を保守する啓蒙思想やカトリック世界観を重視して、≪官学の系譜≫と真っ向から対峙する教育観であることを示唆している。
☆そういう本来性の凄さが、この学校にはあるのだろう。だから、表現は多少危ないが、次のようなレトリックが表されるのでろう。
一点突破」でリーダーシップを発揮するようなタイプももちろん必要ですが、これからのリーダーには複数のことを並行して進められるキャパシティが必要だと思います。
それに、何より欠かせないことは「ケンカができること」。国内でチームをまとめるようなリーダーはただ単に総意をくみ取って「まとめる」ことさえできればよかったが、これからはそうはいかないでしょう。海外の進学校との交流も増えてきていますが、海外のエリート校の生徒を見ていると語学が堪能なのはもちろん、積極性がはるかに強い。特に韓国・中国のエリート学生は、衝突を恐れず自己主張をはっきりする。こういう生徒と渡り合うには、時に真正面からケンカをしなければならない場面もあります。
☆もちろん、武力衝突は恐れてほしいが、フランス革命の意義を巡ってそこは学者の間でも、多様な説がある。高度な政治上の問題があるため、教育のコンテンツについては全く触れられていない編集の巧みさに脱帽。
☆何せ、アメリカビジネスモデル(AMB)に対して、ラ・マルセイエーズは進軍してしまうのだから。
暁星では意図的に「競争」させる機会を多く設けています。テストの結果も成績順に貼り出していますしね。日本では、「競争」と聞くと負の側面ばかりが強調されますが、敗者に鞭打つような競争ではありません。努力して栄冠を勝ちえた勝者をたたえるような競い合いをイメージしています。そうして国際舞台で戦えるような骨太な男を育てていきたいと思っています。
☆優勝劣敗≪官学の系譜≫に真っ向から対峙する≪私学の系譜≫ということだろう。
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